今日のテーマは、『燻り続けるイタリア、8年前との違いはあるのか??』です。
世界のマーケット動向が慌ただしかった先週末、
今日のタイトル『イタリア』の国債・株式市場も大きな下落を見せていました。
具体的には、
『イタリア10年もの国債』の利回りは『3.75%』まで上昇し、
イタリア株の指標の『FTSE・MIB指数』は1.6%安で2017年2月以来の安値を記録しました。
特に、
『債券利回り』は、1つの重要基準として考えられる、
『ドイツ国債』とのスプレッドが『338ベーシスポイント(1bp=0.01%)』まで拡大。
これは、2013年4月以来、5年以上ぶりの開きとなります。
一般的に、
『債券利回り』というものは、その数値が低いほど、
『債務者』の信用が高いことを意味し、好ましい状況であると考えられます。
『個人レベル』でも同様ですが、
『お金』を扱う能力があり、『財政基盤』がしっかりしている方への融資は、
それが『返済』される可能性は大きくなるので、低率融資で取引成立しますよね。
反対に、
上記の『能力』が低く、『財政基盤』が揺らいでいる人物への融資は、
『債権者』がリスクを負う事になるので、それなりの『利回り』を求めないと割りが合わない。
それは『国家レベル』でも同様で、
返済能力・可能性の高い国家が発行する『債券』は利回りが低く、
その両方が低く、信用が低い国家の『債券』は利回りが高まるのが当然です。
ご存知の通り、
ユーロの経済優等生はぶっちぎりで『ドイツ』ですから、
『ドイツ債券』とのスプレッド(利回りの開き)が、『信用』を測る重要指標となるのです。
(*以前はフランスと2強でしたが、現在は専らドイツ1強時代に突入しました。)
話を元に戻します。
定期的に『危機』が訪れる『ユーロ』という地域ですが、
サブプライム・ショック直後の8年前、このちを震源として連続したショックが起こりました。
まだ記憶に新しい方もいらっしゃるでしょうが、
(国民レベルで奥深く根ざした)数々の問題を抱えた『ギリシャ』が、
『財政破綻』する可能性が、非常に高くなった時期があったのです。
この時、
世界的に有名な某投資銀行がギリシャ政府に指南を行い、
国家の組織的な『飛ばし』(粉飾決算)をしていた事は、知る人ぞ知る話です。
個人的には(と言うか、真相を知る真っ当な人間が見れば誰でも)、
これは、国家、投資銀行の明らかなる『詐欺行為』なのですが、
『悪』も大きくなり過ぎると、『善』に変化するのが不思議なところです。
事実、この時の動揺に際して、逮捕者が出たという報道は聞いたことがありません。
ただ、ここでその話を進めると長くなるので割愛します。
この時、
人口・経済規模共に『小国』である『ギリシャ』という国の財政破綻が、
何故、『世界経済』に小さくない影響を与えるほど拡大したのか??
それは、
『ギリシャ』がデフォルトしようとする国債が、同国保有だけでなく、
『ユーロ圏』の各国代表的な金融機関で、持ち合いされていた事に起因します。
極論言って、
『ギリシャ』が財政破綻しようが、『世界』はどうでも良かったはずですが、
その『巻き添え』を食らってしまうと、それこそドイツ以外のユーロ国も危険を伴う。
(*公共サービスは壊滅するので、観光客は被害を被るかも知れません。)
流石に、
『ユーロ全体』がデフォルトの危機に陥ると大変ですから、
その懸念から、『ショック』が世界中に広がる事態へと進展しました。
その中でも、
『PIIGS』という言葉に代表される南欧の国々は、
自国経済だけでも危ういのに、他国の巻き添えを食らうと『連鎖倒産』してしまいます。
『ポルトガル』『スペイン』『イタリア』という国々は、
その地理的要因から考えても、特に『結び付き』が強く、
国家・主権は違えど、経済分野では『運命共同体』的な所が多分にありました。
しかし、あれから8年が経過し、その様相は少し違った姿を見せています。
今回、
恒常的な財政懸念を抱える『イタリア』の国債・株式市場が下落しましたが、
その影響は、周辺国には飛び火せず、同国内で限定的なものとなっています。
前回の教訓を活かし、
南欧諸国館での『独立性』を高めてきたことに加えて、
『ECB(欧州中央銀行)』の現・ドラギ総裁が、
ユーロ圏を救う為に『何でもやる』と表明した事も大きく影響します。
『経済成長(バブル含む)』『調整(ショック含む)』を繰り返す事は変わりませんが、
人類も確かに『歴史』に学び、『経済の粘性』が高い事も関係し、市場は成長して行くのです。
暫くの期間、世界マーケットのあらゆる市場を震源として、
国債・株式市場の変動が発生する可能性はあります。
しかし、
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井上耕太事務所
代表 井上耕太