財務省がネット広告する『個人向け国債』案内ページを見てみた件。

今日のテーマは、『財務省がネット広告する個人向け国債案内ページを見てみた件』です。

 

 

昨日の公式ブログでは、

 

 

『異次元ワールド突入の時代、マイナス利回り社債発行という衝撃』と題して、

三井住友銀行が、欧州市場で発行する『マイナス利回り債券』を紹介しました。

 

 

これは、『金融』の根底を覆すイベントです。

 

 

昨日も述べましたが、

 

 

大原則として、貨幣価値は『今現在』が最も高く評価されて、

時間軸が『未来』へと向かうほど、ディスカウントされます。

 

 

難しいロジックを用いて説明しなくとも、

簡単な事例を示せば、理解できますよね。

 

 

例えば、

 

 

背景情報は気にせず、次のようなオファーが出た時、

あなたは、どちらを優先的に選択するでしょう??

 

 

①『今直ぐ、10万円を支給します。』

 

 

②『1年後、10万円を支給します。』

 

 

恐らく、

 

 

よほどの物好きでもない限り、後者を選択する人は皆無で、

ほぼ100%の方が、前者を選択し、今すぐ受け取ります。

 

 

皆さん、『ディスカウント理論』など学ばなくとも、

『今現在の10万円』と『1年後の10万円』では、

前者の価値が高いことを、感覚的に理解しています。

 

 

それでは、フレーズ②の数字を、次のように変化させたらどうでしょうか??

 

 

『1年後、100万円を支給します。』

 

 

こうなると、回答は少しずつ分かれてきそうですね。

 

 

理論的に考えるなら、

 

 

『10万円』を元本として、1年後に『100万円』にするには、

『年率1000%』で資産運用しなければ達成することは不可能。

 

 

当然、

 

 

世界中探しても、その運用成績を誇る対象は有りませんから、

『オファーの約束が果たされるなら』という前提条件付きで、

一部数字が改定された、後者オファーを受ける方が賢明です。

 

 

しかし、

 

 

現実には、『目先の10万円』を選択する人間は一定数存在し、

予想では、ここまでの差をつけて、回答は漸く半々になります。

 

 

つまり、

 

 

『今現在の10万円』と『1年後の100万円』が釣り合う訳で、

複雑な計算をしなくても、私たちは感覚的にその事を理解します。

 

 

ここまで、長々と説明してきましたが、

要は、人に『お金』を借りたときには、

返済時に『色(利息)』をつける必要があるということです。

 

 

昨日、

 

 

ご紹介した『マイナス利回り社債』は、

その原則を根底から覆しているわけで、

個人的に、中々衝撃的な出来事でした。

 

 

しかし、

 

 

少しだけ冷静に考えてみれば、若干の程度の差こそあれ、

この異次元状態は、以前から存在していたとも言えます。

 

 

それが、本日取り上げる『日本国債』というテーマです。

 

 

職業柄、

 

 

『金融』『経済』に関する調べものをよくしているせいか、

タイムライン広告には、その分野のものがよく出現します。

 

 

その中で、

 

 

最近、財務省が『個人向け国債』をPRしているものがあり、

強く興味・関心を惹かれたので、見てみることにしました。

 

 

先ず、

 

 

国債購入者に対するアンケートが掲載されているのですが、

『発行体が国で安心:60%』『元本割れ無し:22%』、

等々のポイントがアピールされています。

 

 

ケース紹介では、

 

 

30代・女性(既婚)というモデルケースが取り上げられており、

『子供の誕生を機に購入した』という『謎理由』を述べています。

 

 

その後、

 

 

ペーパークラフト、ぬり絵、キャラ弁テンプレート(!)と、

様々なキャラクター・グッズの紹介が続々と展開されており、

国が、幼少期からの『国債洗脳』を行う意思表示が、明確に示されています。

 

 

更に進むと、

 

 

『進◉ゼミ』宜しく、国債購入に向けたマンガが掲載されており、

20代、30代の若者が、『資産運用』のスタートアップとして、

『国債購入』に踏み切るようすが描かれています。

 

 

前述で、

 

 

国債が『元本割れリスク無し』とPRされることを紹介しましたが、

その分、期待できる『運用利率』は壊滅的な状況になっています。

 

 

個人向け国債は、

 

 

『固定3』『固定5』『変動10』が毎月発行されますが、

前から2商品は、『最低利回り保証』があるというものの、

その保証されている数字は『年率0.05%』に留まります。

 

 

仮に、

 

 

あなたが『100万円』分の個人向け国債を購入したとして、

年間に支払われるリターンは『500円』程度という事です。

(*厳密には、税金徴収を受けるので400円です。)

 

 

ちょっとだけ『信用』のある周りの友人に貸した方が、

1年後には、それ以上の利息を払ってくれそうですね。

 

 

*と言っても、大小関わらず、『お金』の貸し借りは全く奨励しません。

 

 

もしかすると、

 

 

『0.05%は、最低の利回り保証だから!』と、

反対意見を述べられる方もいるかも知れません。

 

 

しかし、

 

 

『新発10年もの国債』の利回りが『0.035%』に留まる現状、

まかり間違っても『年率1%』を超える状況というのは有りません。

 

 

にも関わらず、

 

 

財務省ホームページを見ると、この『個人向け国債』は、

なんと、令和2年は『約5兆円』の販売予測があります。

 

 

恐らく、

 

 

国内金融機関(*特に、日本郵政)の担当者に対して、

『販売ノルマ』が不断に掛けられており、未達の場合、

担当者レベルで自己購入が為されているのでしょうが。

 

 

『マイナス利回り』ではないものの、昨日ご紹介した件同様に、

『個人向け国債』も、なかなかの異次元ワールドを展開します。

 

 

良識ある本公式ブログ読者の皆さんは、情報に惑わされず、

『個人向け国債』など購入しないように、願うばかりです。

 

 

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井上耕太事務所

代表 井上耕太

ABOUTこの記事をかいた人

井上 耕太

・独立系FP事務所【井上耕太事務所】代表。
・1984年4月21日生まれ。岡山県津山市出身。
・2008年 国立大学法人【神戸大学】卒業。

【保有資格】
・CFP®(国際ライセンス:認可番号 J-90244311)
・1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格:認可番号 第F11421005598号)

【活動実績】
・個人面談【人生を変えるお金のセッション】受講者は400組を超えており(*2022年4月時点)、活動拠点・大阪のみならず、全国から面談依頼が舞い込む。

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