今日のテーマは、『アルツハイマー型認知症治療薬の衝撃に、日本の財政は耐え得るか??』です。
昨日の公式ブログでは、
『世界初の認知症治療薬、FDA(食品医薬品局)承認に考えること』と題して、
かつて在籍させて頂いた『エーザイ株式会社』の世界的快挙をご紹介しました。
インターネット上でも、話題騒然となっていますよね。
『自分が生きている間に、根治薬が完成するとは!』
このようなコメントも、多くの方々が残されており、
国境を越えて、世間的に関心が高いことが伺えます。
下世話な話題展開になってしまい、恐縮なのですが、
東京市場、同社の取引株価は2日連続のストップ高。
昨日(6月8日)より、
若干、出来高が増えたことで調整された感がありますが、
今夜の米国市場の動向次第で、明日3連続も有り得ます。
約10年前、
『従業員持株会』の制度を利用して、積極購入していた時代、
その時売却せずに、保有し続けていたらと思うと涙が出ます。
なんせ、当時の株価は『2000円台』ですからね。
本日付の終値は『10,000円』を突破しています。
もし仮に、
私が、その時の購入分を保有し続け、明日売却すれば、
1名柄の取引で相当規模のリターンが得られる訳です。
、、、、嘘です(笑)
そのような邪心抜きで、エーザイ株式会社の世界的快挙に、
純粋な気持ちで喜ばしく思い、未来に希望を感じています。
まだまだ、
日本はじめ世界的な承認は先で、現場での薬剤評価如何では、
それ(承認)が取り消しの可能性もあるとリスクを抱えます。
しかし、
何れにせよ、不確定な未来を悲観していても仕方ないので、
世界初となる認知症根治薬誕生に『希望』を持ちましょう。
今回、
脳内Aβ(アミロイド・ベータ)蛋白除去の薬剤開発により、
認知症治療は、間違いなくプラスの方向へと進むと考えます。
ただ、
より広い視野を持って考えた時、物ごとは表裏一体な訳で、
『ネガティブ』に働く要因というものも、必ず存在します。
その辺り、既に、世間でも騒がれ始めていますよね。
そう、
日本国内で正式承認されて『本格的な可動』を迎えた時、
日本国の『財政』は耐え得るのかという大きな問題です。
先日、
FDA承認時に、提携するバイオジェン社が公表した薬価は、
現時点『想定』の範疇に留まりますが、年間5万6千ドル。
現行レートの日本円換算:600万円の超える金額です。
これを、
一部分の『数字』だけに注目して議論する人もいますが、
業界に所属した人間から見れば、完全にナンセンスです。
近年の『新薬開発』は、
否定し続けている『宝くじ』の当選確率に近いものがあり、
方向性は『人道的』ながら、確率論的には『ギャンブル』。
実際、
私が所属していた当時、同社は売上規模には不釣り合いな程、
身の丈以上の『研究開発費』を、毎年計上し続けてきました。
当然、
製薬企業は『ボランティア団体』ではなく、利益を出すことで、
将来的な『新薬開発』はじめ、既存薬の『供給維持』が出来る。
大原則として、
企業(事業者)の宿命はゴーイング・コンサーン(継続)であり、
そのことは、自らが独立・開業を経験して、より強く実感します。
話を戻すと、
前述した『想定薬価』は、決して『高額』な訳ではなくて、
考え方によっては『リーズナブル』と捉えることも出来る。
実際、
他分野の薬剤(ドル箱の抗がん剤領域等)まで目を向けると、
それ以上の年間薬剤費がかかる商品は、幾多存在しています。
また、
前述の『想定薬価』を見て、国民皆保険制度を勘違いした方々が、
『低所得者は治療選択できない!』と言いますが、これも間違い。
現時点、
国内における『高額療養費制度』は、機能しているようですから、
日本国民8割超が、月額『10万円未満』の負担で受けられます。
むしろ、
介護等、周りを含めた『経済効果』の観点から見れば、
十分『メリット』が享受出来るのではないでしょうか。
しかし、
『個人レベル』を越えて、『国家レベル』で考えた時、
問題になるのは『対象患者数』が莫大過ぎることです。
2021年現在、
前段階MCI含めて、日本だけで1000万人の患者数がおり、
そのうち10%が治療対象としても、100万人規模になる。
もし仮に、
年間薬剤費『600万円』のものが、100万人に投与されれば、
単純計算して、その薬剤費は『年間6兆円』を越えてしまいます。
確かに、
患者さんご本人、ご親族の経済負担も含まれることになりますが、
前述『高額療養費』の超過分は、最終的には国費で負担されます。
巡り巡って、私たち日本国民の『税金』が原資になりますね。
勿論、
1つの限局要因を、日本財政悪化の『主因』には出来ませんが、
間違いなく、長期的にボディー・ブローのように効いてきます。
巷には、
自国通貨建債権・無限ファイナンス理論の展開者もいますが、
個人的には、『現実世界』では成立し得ないと考えています。
彼ら・彼女らは『ネバー・ランド』の住人ですね。
算数だけでなく、現実と人間を勉強した方が良い。
『認知症』を解決するかも知れない『希望』の誕生は、
同時に、私たちに『問題提起』ももたらして来ました。
一朝一夕に解決しませんが、『当事者意識』を持って、
私たち日本国民も、真剣に考える必要がありそうです。
今後の動向についても、注目しておきましょう。
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