今日のテーマは、『中米・エルサルバドル、ビットコイン:法定通貨採用後1年の成績表』です。
連日、為替(ドル円レート)の話題ばかり触れてきた為、
一旦、筆休めをして、ライトに書き進めたいと思います。
タイトルの話題を、覚えている方はいるでしょうか??
昨年(2021年)9月7日、中米・エルサルバドルは、
世界初の試みとして、暗号資産を法定通貨に採用します。
同時期、
この出来事に触れて、幾つかの記事を書いていますので、
ご興味ある方がいらっしゃればアーカイブをご覧下さい。
早いもので、
それ(ビットコインの法定通貨導入)から1年間経過し、
国民からは、どのような評価が得られたでしょうか??
今月18日、
同国公表の世論調査結果によると、回答者の約77%が、
『法定通貨としての導入は、誤りだった』と指摘します。
また、
『一度も使っていない』の回答者も約76%占めており、
この数字がそのまま、ネガティブ評価に繋がっています。
21世紀に入り、
暗号資産(仮想通貨)は話題性として十分にも関わらず、
ここまで利用が進まなかった理由は何故でしょうか??
それは、直近1年間の価格変動を調べれば、明らかです。
約1年前、
法定通貨導入時、6万ドルを超えて推移したその価値は、
直近では、2万ドルにも満たない水準で低空飛行を継続。
僅かな期間で『7割』もの価値を失っていることになる。
ここまでボラティリティ(変動)が大きな資産になると、
対象が何であれ、保有(価値保全)に適さなくなります。
国内人口:650万人に対して、その約半数に匹敵する、
約300万人が、米国をはじめ国外に居住している同国。
法定通貨の導入を決定したナジブ政権は、国外居住者が、
『送金手段』としての活用がすすむことも期待しました。
同国にとって、
国外から国内向けに送金される総額は、対GDPとして、
『約25%』に匹敵する、巨大なビジネスチャンスです。
しかし、
国内向け送金に占める『ビットコイン建送金』の割合は、
全体の『約2%』に限定されて、意味を為していません。
内的・外的要因に関わらず、何か革命的変化がなければ、
この状況は、これから将来も変わることはないでしょう。
と言っても、導入後1年間ですべては決定しませんから、
最終の結論が出るのは、少し先の未来になりそうですが。
暗号資産ほどではありませんが、わずか1年未満の間に、
『3割』にも迫る資産価値を失った国の住民・私たちも、
他人ごとと一蹴できず、考えさせられるものがあります。
井上耕太事務所
代表 井上耕太