今日のテーマは、『過去最大3.5兆円の貿易赤字、問題の本質はどこにあるか??』です。
本日付、財務省は1月度:貿易統計速報を公表しました。
それによると、
輸出から輸入を差し引いた収支は3.5兆円の赤字となり、
1979年以降、単月としては過去最大の赤字額を記録。
主な要因としては、
昨年から続く円安と資源高により輸入額が増加した一方、
春節の前倒し(?)により中国向け輸出が減少したこと。
ただし、
この点(単月としての貿易赤字)だけをフォーカスして、
日本経済の行く末を悲観する気などさらさらありません。
何故なら、
毎年1月は、日本国内も正月等の特別なイベントがあり、
『貿易収支』は赤字を記録し易い季節性を持っている為。
実際、
季節要因を除く調整値では、赤字額は1.8兆円に減少し、
この観点で過去最大を記録した昨年10月から2割減少。
また、
その『前月』に相当する2022年12月と比較した時、
赤字額は『横ばい』であるというのが客観的な見方です。
このように、
多くのマスメディア、ネット媒体が一面で煽り立てる程、
日本の貿易収支は急激に悪化していない事が分かります。
それでは、
長期的視点で見た時、貿易収支が赤字を継続することで、
私たちに与える影響、問題の本質はどこにあるでしょう。
それは、
資産形成における基本中の基本『通貨分散』を考える時、
『日本円』の本質価値に影響を及ぼし得るという点です。
元々、
日本は多額の『対外純資産』を保有する国として知られ、
そのような国家の通貨は『強い』と考えられて来ました。
少しだけ補足すると、
『対外純資産』とは企業や個人保有の『外国資産』から、
外国の企業・個人が保有する日本資産を差し引いた金額。
そして、
昨年9月末時点、日本国のそれは『459兆円』存在し、
ドイツの猛追を受けるものの、32年連続世界一は堅い。
前述の通り、
『対外純資産』が多ければ通貨の安全性は高いと言われ、
以前『有事の円買い』なる言葉があったのはその為です。
しかし、
昨年は、年間通じて、この理論に逆行する現象が起こり、
主要先進国通貨の中で、日本円は一人負けの状況でした。
その理由の1つとして、
日本保有の『対外純資産』の約5割が、換金性の乏しい、
『固定資産』により占められていることが指摘されます。
もし仮に、
GDP比として少額(?)ながら貿易赤字が常態化すれば、
対外純資産に占める流動資産は減少し、円下落リスクも。
『貿易赤字』が示す、本質的な問題はそこにあるのです。
2023年以降も、日本は国際競争力を維持できるのか。
自国通貨の国際交渉力という観点でも正念場が続きます。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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