今日のテーマは、『なぜ、投資途上国・日本に1万4000本超ものファンドが存在するか??』です。
先日、
政府は資産運用会社のガバナンスなど抜本改革に関して、
年内にも具体的な政策プランを策定すると発表しました。
果たして、
運用立国を達成するか未知数ですが、その実現に向けて、
顧客(国民)利益を考えた運営体制を徹底する方針です。
そもそも、日本は密かに『異常事態』に陥っていました。
その1つが、
金融機関を通じて国内販売される『ファンド』の総数で、
公募・私募を合わせて『1万4000本』と言われます。
予め断ると、
その内、メガバンク等が自ら組成するものは1割未満で、
海外から輸入され、ベビーファンド化されたものが大半。
こうした商品は、
提供元と販売元の信託報酬が二重取りされてしまうため、
必然、運用リターンは抑えられ、投資家メリットは無い。
話を戻すと、
日本の『1万4000本』というファンド数の異常さは、
金融で世界No. 1に君臨する米国と比べたら分かります。
実際、
運用資産総額が日本の14倍(*)を誇る米国において、
販売されるファンド総数は、公募・私募含めて約1万本。
*米国民の運用資産総額は『4000兆円超』と言われ、
日本のそれ(290兆円)と比べて大きく乖離します。
そして、
『14分の1』の市場を『1.4倍』のファンドで争う為、
1ファンドあたりの運用残高は米国と比べて20分の1、
金額ベースで平均『200億円程度』に甘んじています。
この辺り、
明るい方は分かりますが、この規模(200億円)では、
スケール・メリットを十分に発揮することが出来ません。
それ故、
一時の流行が過ぎれば、誰からも見向きもされなくなる、
大量の『クズ』が毎年量産されつづけるということです。
この間違った潮流は、何が起点となっているでしょうか。
それは、
定期的に『新規商品』をリリースすれば、目新しさから、
一時的な売上げ増が見込める金融機関サイドの理由です。
この状況について、
金融庁は『管理コスト、顧客フォローコストともに嵩み、
本来の運用に、十分な資源を投入できていない』と一蹴。
そして、
金融機関(証券、銀行)に対して、償還・併合を進めて、
取扱いファンド数を削減するよう提言するに至りました。
しかし、
こうした潮流に対して、全国銀行協会・加藤勝彦会長は、
多様な投資ニーズの選択肢を狭めるとして意見は否定的。
さらに、
既存商品の保有者に繰り上げは償還を強いることになり、
十分に留意しながら、対応を進めるべきだと意見します。
果たして、これは『真実』を表しているでしょうか??
当然ですが、否。
金融機関の正義(?)を振りかざしているに過ぎません。
表現が巧みですが、
裏を返せば、ファンド解消により運用資産が減少すれば、
自らの懐が痛む(手数料収入も減少する)という事です。
結局、
金融機関(証券、銀行)サイドは、顧客利益は二の次で、
自社利益を最大化する視点でしか、物ごとを考えません。
私たち投資家(消費者)サイドも、しっかりと裏を読み、
彼らの目的を見抜くための『眼力』を日々養いましょう。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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代表 井上耕太