今日のテーマは、『日本の金融政策は、明らかに、水面下で転換点を迎えている』です。
2013年から約10年続いた日銀・黒田政権が終了し、
4月から植田和男政権がスタートして半年ほど経過する。
当初、
植田新総裁は、金融政策の変更は無しとして、当面の間、
金融緩和と実質ゼロ金利政策を維持していくと表明した。
そして、
金利については『柔軟に対応』との言葉が付いたものの、
現時点、オフィシャルに『方針転換』は発表されてない。
つまり、
前述2項目(金融緩和とゼロ金利)は継続とのことだが、
果たして、これは『真実』を表しているでしょうか??
私見では、
その認識は正しくなく、明らかに日本の『金融政策』は、
水面下で『ターニング・ポイント』を迎えたと考えます。
事実、
長期金利の指標となる新発10年物日本国債の利回りは、
10月23日付、一時『0.860%』まで上昇している。
これは2013年7月以来、約10年ぶりの高値圏です。
先日の公式ブログでは、
『米国が直面する、債券市場の不可解な現象』と題して、
米国債の利回りが上昇する不思議について指摘しました。
金融引き締めにより、
株式市場から流入した『投資マネー』が流入するならば、
米国債の取引価格は上昇して、利回りは下がるはずです。
しかし、
現実には、米国債の利回りは上昇しており、それは即ち、
債券市場から投資マネーが流出していることを意味する。
今、米国では『株式市場』と『債券市場』の両市場から、
投資マネーの流出が起こっているということが現実です。
対して、
前半でご紹介した『日本国債の利回り上昇』については、
米国のそれとは異なり、容易にロジックを想像できます。
元々、
実質的な『ゼロ金利』で経済メリットのない日本国債は、
投資家視点で、取得・保有する理由など見つかりません。
つまり、
市場における『調整機能』が、適切に働く状態にあれば、
それ(日本国債)は、恒常的に売り越し超過になるはず。
皮肉にも、
不可解と表現した『米国債利回り5%』の状況であれば、
尚更そちらに『投資マネー』が流れていくのは必然です。
しかし、
これまで、中央銀行にあたる日本銀行が買い支える形で、
日本国債の金利(利回り)をコントロールしてきました。
これにより、
日本国債は、どんなに格付け、経済メリットが低くとも、
優良債券と同等の待遇で、消化・取引されてきたのです。
ただ、
10年債の利回りが『0.860%』に上昇したことから、
それ(日銀の買支え)が行われていない事が分かります。
つまり、
市場の『調整機能』を正常な状態へ戻し、10年に渡る、
壮大な『金融実験』の幕引きを画策しているということ。
それでも、
10年間積み重ねた副作用は、想像以上に大きなもので、
今後、私たちを待ち受ける結末は誰にも分かりませんが。
静かに、静かに、金融政策は水面下で転換点を迎えます。
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