今日のテーマは、『大企業を中心に散見される【初任給アップ】は、従業員にとって朗報か』です。
昨日の公式ブログでは、
『日本から米国のチップ文化について考える』と題して、
ネガティブに捉えられ始めた長年の慣習を紹介しました。
私も含めて、
日本人に馴染みの薄い海外諸国の『チップ文化』ですが、
上手く機能すれば、とても合理的なシステムと考えます。
何故なら、
顧客に対して接客スタッフが良いサービスを提供すれば、
その価値の分だけ、直接報酬が支払われる仕組みだから。
もちろん、
例外的に、不当な評価を受けるケースもあるでしょうが、
母数が大きくなれば提供する価値と収入は強く相関する。
顧客サイドも、
スタッフの切磋琢磨により質の高いサービスを受ける為、
Win-Win関係が成立して喜んでチップを支払うでしょう。
元々、
自由競争が原則にある、資本主義という経済システムは、
相手への価値提供と得られる報酬が釣り合うことが基本。
もし仮に、
あなた自身が『収入をアップさせたい』と考えるのなら、
価値提供の質・量を上げれば、シンプルに解決出来ます。
しかし、
この原理・原則が、昨今の日本では狂いはじめています。
背景にあるのは、
20世紀後半から数十年間継続している少子化の影響で、
業種に関係なく労働市場で慢性的な人手不足があること。
これにより、
名前の知れた大企業を中心に、優秀な人材を確保する為、
新卒採用者の初任給アップさせる動きが加速しています。
果たして、これは手放しで喜ぶべきものなのでしょうか。
もちろん、
初任給がアップすれば、その該当者は喜ぶと思いますが、
凡ゆる物事に共通で、表と裏、光と影が存在しています。
ご存知の通り、
資本主義下において、企業はボランティア集団ではなく、
『利益の追求』を第一義とするコンセプトは譲れません。
インフレにより、
すべての業種で経営コストが増大しつつある今、簡単に、
総額としての人件費を上げて、利益圧迫は好ましくない。
恐らく、
何の経営努力もなくそれを実行してしまうようであれば、
ステーク・ホルダーの最上位・株主に示しがつきません。
その為、
初任給をアップさせても、中堅以降の社員は取り残され、
最悪のケースではリストラで人員整理までされてしまう。
そして、
新卒採用時点では高い待遇(?)を受けていた若年層も、
時間の経過と共に、対象者としてリスプアップされます。
対岸の火事と感じたものが、自らに返ってわけですね。
短期視点で、
目の前の事象に一喜一憂することなく、物事を見極めて、
粛々と『自らやるべきこと』に集中して積み上げること。
具体的には組織外で通用する人的資本を高めておくこと。
長期的視点で、未来を見据えることができるかどうかが、
ビジネス・資産形成ともに共通する最重要ポイントです。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太