今日のテーマは、『大国・中国が着手した年金対策により、社会保障問題は解決されるのか』です。
私事ですが、
先週一週間、遅めの年始休暇を取得していたこともあり、
公式ブログは前回から約10日ぶりの更新となりました。
休暇期間中も、
気になるニュースフィードは日々チェックをしていた為、
心機一転、本日から情報発信を再始動したいと思います。
恐らく、
世間的な注目度は極めて低いのですが、今年の1月から、
中国でドラスティックな年金対策がスタートしています。
それは、会社員に対しての定年退職年齢の引き上げです。
以前、
それが実行されたのは建国直後の1950年代ですから、
実に70年ぶりとなる『大きな改革』であると言えます。
現行、
中国で定められた定年退職年齢は、男性が一律に60歳、
女性は幹部社員が55歳でそれ以外のヒラ社員は50歳。
それが、
男性63歳、女性・幹部は58歳、それ以外は55歳と、
今後15年間をかけて段階的に引き上げられる方針です。
必然、
国家(政府)側から見れば、引き上げた定年までの期間、
国民に対する年金支給を『免除』されることになります。
反対に、
定年を引上げたことにより就労期間が延長されることで、
国民サイドは新たな年金保険料の徴収がスタートします。
中国政府からすれば極めて『両得なプラン』と言えます。
当初は、
最終到達点は『65歳』として俎上に上っていましたが、
国民サイドからの反発も大きく、今回の決定では見送り。
しかし、
改革が最終確定したかと言えば、必ずしもそうではなく、
これからも同様の議論は定期的に行われると推測します。
中国に限らず、
各国共通して、年金を含めた社会保障システムの維持は、
国家・中央政府が存在する意義の大部分を占めています。
仮に、
それ(社会保障)がデフォルトするようなことがあれば、
その存在意義・存在価値は大きく揺らいでしまいますね。
2025年、
世界経済全体としても成熟期(停滞期)を迎えている今、
先進国を中心に社会保障(年金)は正念場を迎えている。
そのため、日本はじめ各国は延命措置に奔走しています。
中国に話を戻すと、
2024年時点、国民に占める65歳以上人口の割合は、
15.6%まで上昇しており、前年比としても0.2%増加。
さらに、
国連は同国の総人口に占める高齢化率(65歳以上)が、
34年に21%に達して超高齢化社会に突入すると予想。
また、
中国社会科学院は、会社員らが加入する年金の積立金が、
35年には枯渇することを19年時点で予言しています。
となれば、
当然、今回の決定(定年引上げ)には反発があるものの、
時間的にも、資金的にも、聞き入れる余裕はありません。
実際、
国民にとっては苦痛を伴う改革ですが、海外メディアは、
この程度の対策では、年金問題の解決は不可能だと指摘。
先ほどは、
(再引き上げの)可能性が十分にあると表現しましたが、
むしろ、そうする以外に解決しないという方が正確です。
間違いなく、
米国と覇権を争う『ポテンシャル』は秘める中国ですが、
それと同時に、大きな『リスク』を抱えるのも現実です。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太