今日のテーマは、『トランプ政権が終了する2028年、米国は再び偉大な国になり得るか』です。
年始1月20日にドナルド・トランプ二次政権が正式にスタートして、早いもので4ヶ月が経過しようとしています。
これを『まだまだ4ヶ月』と捉えることも出来ますが、任期が4年間であることを考慮すると、全体の12分の1が時間が消化されたことになりますね。
私たちの人生も一日一日の積み重ねで構成されていますが、一見すると『長い』ように感じる期間(時間)も、百代の過客が如く直ぐに過ぎ去ってしまうから注意が必要です。
話を戻すと、日本ではあまり周知されていませんが、原則、米国大統領は累計2期(8年)までしか務めることが出来ません。
ご存知の通り、第一次トランプ政権は2017年ー2020年の期間で成立しているため、今回の任期(2025年ー2028年)を終えると、システム的に3期目の立候補をすることは出来ない。
しかし、大統領を2期務めた人物が『副大統領』になることを禁止するルールはないため、掌で転がせる人物を大統領として立てた上で、自らは副大統領として裏から実効支配することは可能です。
流石に、次期大統領の失墜による自動昇格まで狙うかは定かでありませんが、何れにせよ、2025年を起点として2期(8年)連続した長期政権を目指しているというのが私の見方です。
あくまで、『次回の統領選も共和党が連取すれば』という前提条件付きですが。
話を現在に戻しましょう。
2025年から4年間のトランプ・共和党政権では、徹底的にアメリカ・ファースト(米国第一主義)を追求して、米国は自国の利益を最優先するというスタンスが決定しています。
その動きが米国、延いては世界全体により良い影響を及ぼすかは分かりませんが、一投資家として、米国本体の経済指標は順調に上昇していくことになると予想しています。
実際、大統領選中から掲げられている20の選挙公約は現時点で反故にされておらず、ひとつ一つ確実に実行へと移されている過程にある。
中には、ロシアーウクライナ戦争や中東(イスラエル)の紛争の停戦等、スピード感の点で当初の目論見が外れているものもありますが、目標とする方向性はまったくブレずに進んでいますよね。
もちろん、限られた任期(4年間)の中では未達の項目も出てくると想像しますが、明確な理論なく、迷走するような政権運営だけは明らかに避けられると感じています。
それでは、トランプ政権のスローガン『MAGA:Make America Great Again』が如く、4年後の米国は本当に『偉大な国』に返り咲いているのでしょうか。
前述の通り、私自身、トランプ政権は公約を確実に実行していくと考えますが、その上で、先ほどの質問に対する回答が『YES』にならないのが現実世界の興味深いところです。
ハーバード大学で名誉教授を務めるジョセフ・ナイ氏によると、他者に影響力を及ぼす(他者を自分の望むように動かす)能力は大きく3つに分類できるそうです。
一つ目は、相手を威圧することで『強制力』を働かせること。
二つ目は、分かりやすく主に金銭等の『報酬』を与えること。
三つ目は、最善の方法と考えられる相手を『魅了』すること。
恐らく、大半の方々が瞬時に判断できると思いますが、現在、トランプ・共和党政権の推進力は間違いなく上記項目の1番目(相手を威圧することでの強制力)に相当しています。
そして、そのパワー(強制力)をフル活用して物ごとを押し進めれば・進めるほど、反比例して、相手からの『尊敬』が失われていくことは皆さんも理解される通りです。
これからの4年間、米国は間違いなく『強く』なることが予想されます。
しかし、それが『偉大さ』を意味するわけではないのは皮肉な現実です。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太