今日のテーマは、『海苔の日に感じる、国家という徴税システムの秀逸さ』です。
冒頭、1つの質問から入りたいと思います。
皆さんは、『海苔の日』というものをご存知ですか??
私自身、先日まで知りませんでした。
『2月6日』
私は、親族の誕生日を覚えるのがとても苦手なのですが、
確か、亡くなった父親の誕生日が、この日だったと記憶します。
その歴史は意外に古く、
『全国海苔貝類漁業協同組合連合会』という舌を噛みそうな協会が、
昭和41年、今から半世紀以上も前に制定してスタートしています。
何故、
この日(2月6日)を『海苔の日』として制定したかと言うと、
遡ること約1300年前、『飛鳥時代』まで時間が巻き戻ります。
小学校の『社会』の時間、
『大宝律令』という単語を覚えた経験があると思いますが、
当時の『唐』を参考に作られた、日本史上初の本格的な『律令』に起源が有ります。
この中で、
当時から貴重な食品として、価値を高く評価されていた『海苔』は、
『諸国指定産物』として、朝廷へ納める租税の『対象産物』となったのです。
一説によると、
ビタミンやミネラルを豊富に含むことから、
大判なもの2枚で、1日分の栄養素を確保できるとも言われています。
特に、
現代ほど栄養状態が良くなく、食品保存も効かなかった時代背景を考えると、
『海苔』という食品の有効さ・万能さが、より際立っていたと推測できます。
『大宝律令』の時代は、
『生海苔』が主流でしたが、時間は流れて江戸時代中期になり、
現在汎用されている『板海苔』が登場したことで、庶民にも普及したのだとか。
ちょっとした、『海苔博士』のようになって来ましたね(笑)
そして、
大宝律令の制定が、『大宝元年(西暦701年2月6日)』だったことを理由に、
前述の『昭和41年2月6日』から、正式に『海苔の日』としてスタートしました。
以上、『海苔の日』制定理由のご紹介でした。
、、、、ここで終わってしまったら、完全なる『海苔ブログ』ですね(笑)
少しだけ、『お金』の話を絡めて展開します。
『大宝律令』を境として、『租税対象』となった『海苔』ですが、
これ以外にも、『諸国指定産物』というものは制定されています。
当然の話、
全国各地、その土地土地で収穫できる『産物』は違いますから、
地域毎に、一般的には『貴重な品』が指定されて、朝廷へと献上される事になりました。
前述した『小学校の社会科』の授業の中で、
私たちは、何の疑問も持たずに『年貢』という言葉を学びますが、
これは、少し冷静に考えてみると、徴収サイド視点では『もの凄い制度』です。
当時の政府(朝廷)が、
海外諸国からの『脅威』に対して、どこまで『国民生活』を守り、
どこまで有益な『公共サービス』を提供していたか知りませんが、
『存在』する事で、『税金』はしっかり徴収していたのです。
この辺り、
『国家』サイドから見れば、『存在』という事になりますが、
『国民』サイドから見れば、『所属』という事になりますね。
冒頭展開した通り、
当時の『海苔』は、国民にとって『命』に関わる栄養補給源であり、
恐らく、今の私たちの感覚とは比べられないほどの『高級品』です。
にも関わらず、
『国家』として、ある一定域内を法律で統治することにより、
ほぼ『自動的』に、毎年、毎年、簡単に徴収できてしまうのです。
10年ほど前、
インドを旅した際、某100万人規模の都市で、
『カースト』という権力の絶大さを実感させられた事があります。
その都市では、
街中を見渡せる高い丘(崖)の上に『宮殿』のような建物があるのですが、
その一族は、100万人都市全体から入る『テナント収入』で維持継続している、と。
これはもう、
『カースト』というシステムが突然変異で『逆流』を起こすか、
『君の名は』級の隕石が街を直撃する以外、状況の『逆転』は有り得ないですね。
話を戻すと、
飛鳥時代、当時は『物納』という選択が可能だった『租税制度』ですが、
現代では、より効率的に『貨幣(数字)』による納付が義務付けられています。
この辺り、
『会社員』という立場の方々は認識少ないかも知れませんが、
『国民』として『所属』する事で、毎年、相当額の『租税』を我々は納めています。
一度、『給与明細』をしっかりと見てみてください。
そして、
その『租税』に関する『徴税割合』も、
今後の社会では、どんどん増加(上昇)していくことが決定しています。
例えば、
昨年も、一度だけ『公式ブログ」で取り上げた記憶がありますが、
2020年から、『所得税』は実感レベルで上昇していますよね。
また、
個人的には、こちらも『租税』と考える『社会保障費』ですが、
『健康保険料』『年金保険料』も、主に『会社員』の方々を中心に上昇しています。
この国は、これから『大増税時代』を迎えるのです。
その中で、
昨年話題になった『老後資産2000万円問題』という話ですが、
この『最低レベル』と言われる金額を、この状況で工面できる人が、どれほど存在するのでしょうか??
大戦から復活を遂げた後の数十年間、
『日本』は、歴史的に見ても『最も良い時代』を過ごしましたが、
それが、これから先も、継続するという『見立て』は間違っています。
ご存知の方には『今更』な話ですが、
いつの時代も、『国家』は、明らかなる『徴税システム』です。
『海苔の日』について調べる過程で、
そのシステムの『秀逸さ』を、改めて実感することが出来ました。
何も考えずに日々を過ごされていたら、
恐らく、あなたは『人生』全体を通して、搾取され続ける事になります。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太