今日のテーマは、『定年を迎えて退職金を受け取った人が、気を付けるべきこと』です。
多くの方々にとって、『春』は環境が変化する時期です。
入学、就職、引越し等で新生活をスタートする人もいる。
その一方で、
40年間(若しくはそれ以上)の就労にピリオドを打ち、
まとまった『退職金』を手にする方々もいると思います。
近年では、
企業・組織の4分の1が『退職金制度』を持っておらず、
残りの4分の3も、退職金水準は下降線を辿っています。
それでも、
昭和・平成の前半ほど潤沢ではないにせよ、2023年、
定年退職を迎える世代は、『退職金』に恵まれています。
恐らく、
所属組織の規模によっては、3000万円には未達でも、
『2000万円台』のまとまったお金を一括で手にする。
その時こそ、気を確かに持ち、注意する必要があります。
『個人情報保護』が叫ばれて久しい時代ですが、何故か、
この手の情報は簡単に売買されて、リストは出回ります。
また、
『退職金』の受け取り口座として指定した金融機関では、
預金情報を自社プロモーションに有効活用(?)します。
具体的には、様々な金融商品を売り込みに来るんですね。
『定年退職者』という層をターゲットにした商品勧誘で、
典型的なものの1つに『ファンド・ラップ』があります。
各金融機関とも、
最低投資額は『300万円』ほどからスタートしますが、
営業マンが目標とするのは『1000万円』超えの契約。
運用方針に合わせて、
顧客は『安定運用型』『積極運用型』を選択出来ますが、
もちろん、金融機関サイドはそんなことはどうでもいい。
何故なら、
彼ら(金融機関サイド)が最も注目しているポイントは、
契約締結することで、彼らが得ることになる手数料です。
一般的には、
口座維持手数料等の名目で運用総額(契約額)に対して、
年間あたり『1.5%ー2%』が金融機関の懐に入ります。
さらに、
顧客目線では、ラップ口座内で取引する『ファンド』の、
『信託報酬』も前述手数料にアドオンされることになる。
それを加味すると、
運用総額(契約額)に対して、年率『3%ー4%』程が、
毎年、手数料徴収されながら運用されることになります。
また、
金融機関によっては、ファンド・ラップ契約額を上限に、
優遇金利の定期預金をセット販売するケースもあります。
確かに、
『ゼロ金利』が常識化して久しい時代、優遇金利として、
『年率1%』という数字は魅力的に映るかも知れません。
しかし、
ここにもカラクリは仕込まれていて、『年率1%』とは、
契約時から3ヶ月程度の限定金利である場合が殆どです。
具体的に計算すると、
『年1%・3ヶ月限定』の場合、優遇期間の実質金利は、
0.25%で、税金を考慮すると『0.20%』を割り込む。
仮に、
1000万円を預け入れた際の利息はわずか『2万円』、
ファンドラップ契約の支払手数料は『年間3ー4万円』。
完全に仕組まれた、マイナス金利商品のセット販売です。
この取引は、あなたにとって『メリット』あるでしょうか。
一般的に、
金融機関所属の人間は、『プロ』と見做されがちですが、
彼ら・彼女らは、決して『金融のプロ』ではありません。
それでは、
何の『プロ』かと言うと、素人(カモ)を巧みに騙して、
金融機関サイドの利益を最大化するプロフェッショナル。
きちんと学んで、相手の『手の内』を知っておくことも、
自らの資産の『防衛策』として、とても大切なことです。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太