今日のテーマは、『力強いはずの米国経済が直面する、国債市場における不可解な現象』です。
先日の公式ブログでは、
『利上げが終了しても経済は楽観視できない』と題して、
1年半にわたり急激な速度で進んでいた、米国における、
政策金利の『利上げ』が終了した可能性を紹介しました。
結論から言うと、
この『読み』は外す可能性が高まり、牽制も含まれるが、
FRBは『金融引締めの正当性』を改めて主張しています。
次回、
月末に開催するFOMCでは見送られるかも知れませんが、
12月のそれでは『追加利上げ』の準備がある事を強調。
これを受けて、
長期金利の指標とされる『10年物米国債』の利回りは、
16年ぶりに『5%』の大台に到達するに至っています。
実に、
2007年7月以来、奇しくも、百年に一度の金融危機、
サブプライム危機の時期と重なり、時の流れを感じます。
ただ、少し冷静に考えてみるとこれは不可解な現象です。
これは、
『政策金利が上昇なら、国債金利も上昇する』といった、
物事を表面しか捉えられない(思考能力のない)人間は、
決して感じ取ることの出来ない、潜在的な混乱のサイン。
考察を進めるにあたり、
最初のアプローチ箇所(入口)は複数あると考えますが、
ここでは『国債金利』にフォーカスして起点と定めます。
恐らく、
文章だけで、情報を整理できる人は少数派だと思うので、
ぜひ、ご自身で図を書きながら思考を進めてみて下さい。
それでは、始めます。
基本の整理からですが、国債金利が上昇していることは、
その(米国債)の取引価格が下落することを意味します。
つまり、
現時点において、債券市場(少なくとも米国債市場)は、
資金流出(国債の売却)が加速する状況にあるという事。
それでは、
米国債を売却して、市場から流出した投資家等の資金は、
果たしてどこへ向かった(向かっているの)でしょうか。
仮説の1つは、
基本的に『債券』と相対する動きを示す『株式』ですが、
今回の状況は、これは当て嵌まらない可能性が高いです。
何故なら、
政策金利の『利上げ』は、金融引き締めを意味するため、
経済の循環スピードは減速して、株式市場も低調になる。
事実、
昨日(10月19日)はFRBから声明が発表されたあと、
株式は下落し、NYダウも前日比マイナスで締めています。
もう1つの仮説は、
債券市場から流出した資金は、実は、どこにも向かわず、
投資家の懐にキャッシュ・ストックされているという事。
確証はないものの、
株式・債券の両市場から資金流出していることは事実で、
投資家が資金を引き上げる動きが加速していると見ます。
水面下で大きな『リスク』に対する動きが進みつつある。
それが何なのかは、近い将来、判明しそうな気がします。
——————————————————————–
2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太