今日のテーマは、『資産形成で成功する上で、本当に特殊(未来の株価を占う)能力は必要か』です。
資産形成(投資)を実行する上で、一般の方々が誤って認識していることがあります。
それは、それ(資産形成)を成功に導くために必要なものが、株価動向の未来を見通すことが出来る『特殊能力』であると信じて疑わないこと。
実際、最近ではその特殊能力を持つ人物が参加しているというグループに招待されることから始まる、SNSに関連した詐欺事件も頻発していますよね。
いや、SNSというツールの存在しなかった時代から、古今東西、同じ類の話は手を替え品を替え溢れ返っていたというのが現実です。
最初にはっきりお伝えしておくと、そのような『特殊能力』は地球上どこにも存在していません。
もし仮に、そのような特殊能力(株価の未来を見通す能力)があるとしたら、最も大きく勝つことが出来る戦略は、誰にもその事実を伝えることなく人知れず行動(爆上がり銘柄を購入)すること。
つまり、それ(未来を見通す特殊能力がある)を謳った時点で、簡単に詐欺だと見抜けるのです。
確かに、選択した銘柄が大当たりして短期間で『億り人』になる人も存在しますが、それは運が良かっただけで再現性はなく、宝くじを始めとしたギャンブルで財を成したことと変わりません。
その証拠に、そのような人物は『時代の寵児』としてメディア等で持ち上げられるものの、1ー2年で表舞台から姿を消して、その後は完全に雲隠れしてしまいます。
それを分かった上で『数字(視聴率)取り』のツールとして活用するメディア・サイドは、世の中に誤った『投資認識』を普及させる最も罪深い存在だと感じていますが。
長い前置きを終えて本題に入りますが、『本質』はそこにありません。
結論からお伝えすると、資産形成(投資)を成功に導くために必要なのは、欲求をコントロールする『自制心』と、自らが決定したルールを初志貫徹で実行していく『覚悟力』です。
先日も、そのことを体現している個人投資家の記事を目にしました。
取り上げられていたのは投資歴30年以上を誇る50代の男性で、未だ『会社員』という立場でありながら保有する金融資産は『総額5億円』に迫ろうかという人物です。
また、株式から得られる配当収入は『年間1000万円』を超えており、生涯所得としても年間所得としても、彼の『労働収入』をはるかに超えてしまっているのだとか。
彼の投資スタイルはとてもシンプルな『バイ・アンド・ホールド戦略』で、自身が決めたルールに則り購入した銘柄(株式)は売却することなく保有し続けるというもの。
驚くべきは徹底ぶりで、彼が『買い』に動いたのは主に3回、1990年代後半の金融危機、2008年のサブプライム・ショック、2020年のコロナ・ショックだけ。
つまり、世界的に株式市場が『大暴落』した時にだけ自身がターゲティングしていた銘柄(株式)を買い増していき、その後に訪れる多少(?)の上下動には目もくれず保有してきたというのです。
それを30年間継続することで『金融資産5億円』を築いたというストーリーですが、果たして、一般の方々がイメージしがちな『特殊能力』は話のどこかで登場してきたでしょうか。
大切なので繰り返しますが、それ(特殊能力)を求めるところに『本質』はありません。
凡ゆる分野に共通して、最初に『正しい指針』を定めなければ成功はあり得ないのです。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太