今日のテーマは、『アルケゴス・ショックは、果たして、終焉を迎えたのか??』です。
今月(4月)初め、ちょっとした(?)動揺が市場に走りましたね。
本日は、その『アルケゴス・ショック』について書き進めていきます。
昨日の公式ブログでは、
『高リスク資産に傾倒する市場は、難局を乗り切れるのか??』と題して、
『低信用格付け債権』市場に見られている、異変についてご紹介しました。
昨年(2020年)、
突如出現した『新型ウイルス』により、世界経済は影響を受けて、
凡ゆる面において『世界』が一変してしまう出来事が起きました。
2008年、
『未曾有の経済危機』の痛みを忘れていなかった市場は驚いて、
世界各国協力して、異次元レベルの『金融緩和』を実現します。
その結果、
幸いにも、前回のような『メルトダウン』危機は免れたものの、
行き場を失った『投資マネー』は、世界中を駆けめぐることに。
日本国内では、
過去最高レベルに『預貯金』が積み上がる珍事が起きていますが、
世界的には、凡ゆる『投資対象』に緩和マネーが流入しています。
この局面、
凡ゆる『投資対象』の保有者が、莫大な利益を獲得していく中で、
唯一、『負けゲーム』を強いられる事になるのは現金保有者です。
これは、
現代版:資本主義の時代を生きる上で、常識的なことですが、
2021年現在、未だ、日本では『市民権』を得ていません。
この事実こそが、『経済・金融音痴』と言われる所以ですね。
幸か不幸か、
一投資家として、『含み益』は潤沢に得ていますが、
歴史的に見ると、良くない雰囲気を感じる状況です。
何故なら、
民族を問わず、『人間』というものはそれほど賢くなく、
『万事順調な時』は、得てして調子に乗ってしまうから。
そして、
このような、『何をやっても、上手くいく!』という局面では、
世界の金融スペシャリスト達も、例に漏れず『やり過ぎ』ます。
その典型的事例の1つが、『アルケゴス・ショック』です。
状況を知らない方々の為に、少しだけ情報を整理します。
アルケゴスは、
元ヘッジファンド運用者、ビル・ホワン氏が運営している、
『個人資産管理』を目的とした、所謂ファミリーオフィス。
一般的に、
『資産運用・管理』をメインとするプライベート・バンクとは異なり、
『一族の永続的発展』を主目的として、総合的サービスを提供します。
共通点は、
そこで運用される資金が、『個人』のものに限定されており、
公募性ががなく、SEC(米証券取引委員会)監視下にない事。
その結果、
ヘッジファンドにおける運用同様、『秘匿性』が確保されており、
部外者から、どのような管理体制・運用方針か全く分かりません。
もちろん、
それにより、大きな『メリット』を享受できる側面もありますが、
『自由』の対価として存在する『責任』も漏れなく付いて来ます。
この辺り、『権利』と『義務』が1セットなことと同様ですね。
話を戻すと、
アルケゴス運用者:ビル・ホワン氏の保有資産は、一説によると、
約100億ドル(約1兆1000億円)程だったと言われますが、
各金融機関からの借入含めて、運用資産は『500億ドル』超え。
所謂、『レバレッジ』というやつです。
『テコの原理』を利用した運用方法は、上昇局面では良いのですが、
一旦、『想定外』のリスクが生じると、一気に破綻へと近づきます。
仮に、
『100億ドル』の資産しか(?)持たないアルケゴスが、
レバレッジ『5倍』で取引した時、2割程度の資産下落で、
自己資金『100億ドル』は簡単に吹き飛んでしまうから。
実際の取引では、
より手前の段階でマージンコール(追証請求)が掛かるので、
『試合終了』となる確率は、さらに高まって来るものですが。
また、
今回、アルケゴスが行っていたのは『ブロック取引』と見られ、
複数の証券会社等から、私的な相対取引により『特定銘柄』を、
市場に供給されている相当割合(10%未満)取得するもの。
これも、
個人投資家が、『単一銘柄』を大量保有する場合とまったく同様で、
対象銘柄が上昇すれば良いですが、下落した時は『地獄』を見ます。
その結果、
話題に上がる『アルケゴス』も、保有銘柄の株価下落を受けて、
『試合終了』のホイッスルが吹かれる間際まで追い込まれます。
そして、
被害を受けているのは、対象銘柄の取引きに関わり、且つ、
『レバレッジ』の資金を融資していた金融機関も同様です。
実際、
日本の証券会社では、野村証券の米国子会社が取引に関わり、
20億ドル(約2200億円)級の損失が見込まれています。
比較すると、
規模感は小さくなってしまいますが、三菱UFJ証券は約300億円、
みずほフィナンシャルグループも買付損失100億円を見込みます。
海外勢では、
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは迅速に対処し、
『被害額』を最小限度の食い止めに成功したとの報道もあります。
しかし、
名門クレディ・スイスは、『44億スイス・フラン』もの巨額損失を見込み、
この金額は、減配や自社株買い停止を発表するほど経営への影響を与えます。
(*現行為替レートで、日本円換算:約5200億円です。)
実際、
これらを足し合わせた『損失額』は、
『世界経済』全体に影響を与える程、
大きなものという訳ではありません。
最悪、
『アルケゴス』というファミリーオフィスが終焉したところで、
『当事者(金融機関含む)』に『痛み』が伴うのは当然ですが、
この一事例に限定すれば、私たちには影響はないと想像します。
しかし、
『情報公開』の必要性を備えない、ファミリーオフィスの類が、
世界中で『レバレッジ取引』していると考えたらどうでしょう。
何かのトリガー(引き金)によって、一気に連鎖破綻しますね。
そのような『危うさ』を、常に、資本主義経済は持っています。
『アルケゴス・ショック』は、果たして、静かに終焉するのか。
個人的には、暫くの間は『予断』を許さないと感じています。
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