今日のテーマは、『手数料無料化という顧客争奪戦の真意は、果たしてどこにあるか??』です。
先日の公式ブログでは、
『なぜ途上国に1.4万ファンドが存在するか』と題して、
金融機関(銀行・保険・証券)の本性をご紹介しました。
少しだけ振り返ると、
運用資産が米国の『14分の1』しか存在しない日本で、
反対に、米国の『1.4倍』ものファンドが存在する理由。
それは、
分かり易くストレートに表現すると、銀行・証券会社が、
優先項目に『自社利益』を掲げて営業してきた結果です。
実際、
彼らが顧客利益など念頭になく、後回しにしてきた事は、
直近10年間、金融庁が繰り返し指摘し続けてきた通り。
しかし、
不思議なことに、この方針(自社利益の優先)が覆され、
『顧客利益』が優先されるかのような動きが連続します。
例えば、
iDeCo(個人型確定拠出年金)に関する、口座保有者の、
口座維持手数料『無料化』の流れなどは、その1つです。
既に、
SBI証券、りそな銀行では『無料化』されているそれが、
来月から日本生命も新たに無料化すると発表されました。
この動きについて、果たして、私たち消費者(国民)は、
素直に『顧客メリット』と受け取って良いのでしょうか。
その狙いの『真意』は、どこに存在しているのでしょう。
予め断ると、
主流になりつつある『つみたてNISA』『iDeCo』では、
口座開設による金融機関サイドのメリットは極端に薄い。
両者の共通点は、
10年を超える長期視点で、無税運用する仕組みですが、
前者に関しては、金融庁承認のファンドしか選択不可能。
原則として、
販売手数料は『無料』がデフォルトで、その他手数料も、
金融庁が求める基準以下になるので、旨味はありません。
後者に関しては、
前者(つみたてNISA)比として収益率は高いでしょうが、
基本的には設定の対象をドルコストで積み立てる仕組み。
これは、
彼らが主戦場としている『ドル箱商品』の販売手数料や、
短期売買で得られる手数料収入と比べものになりません。
そこに来て、
更に口座維持手数料を『無料化』するというのですから、
元々低かった収益率が今まで以上に低下してしまいます。
彼ら(金融機関)は、心を入れ替えたのでしょうか??
勘の良い方は理解されますが、そんなはずがありません。
結論から言うと、
キャッシュ・ポイント、つまり収益を上げるポイントを、
後ろにずらして、最大化したいという戦略に過ぎません。
例えるならば、
グリム童話・ヘンゼルとグレーテルの中で、魔法使いが、
ヘンゼルを太らせてから食べようとした場面と同じです。
iDeCoの場合、
原則65歳まで、運用資産の取り崩しは不可能ですから、
それまでは、長期運用で年金原資をしっかりと作らせる。
その後、
いざ制限が外れて、運用資産の流動性が確保できたとき、
『ドル箱商品』を売込みたい下心が完全に透けて見える。
更に、
年齢を重ねることで、判断能力の低下は否めませんから、
対象者(投資家)は金融機関にとって良い『カモ』です。
彼ら(銀行・保険・証券)を簡単に信用してはいけない。
この『真理』だけは、これからの世の中も変わりません。
——————————————————————–
2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太