今日のテーマは、『ファンドの資金流入ランキングに見る、日本の金融立国の遠い道のり』です。
先日、
QUICK資産運用研究所から国内販売する公募ファンドで、
昨年は約6.6兆円の資金流入があったと公表されました。
この数字は、
直近10年間のピークを記録した2021年の流入金額、
年間9.3兆円には劣るものの、依然高い水準にあります。
もちろん、
欧米諸国の意識と比較して未だ大きな乖離はあるものの、
日本国民全体として、投資意欲は確実に高まっています。
新NISA制度のスタートも、少なからず寄与していますね。
私自身、この傾向(投資意欲の上昇)は支持しています。
日々実感される通り、
久しい期間『ゼロ金利』が常態化してしまった日本では、
金融機関に預金しているだけでは『お金』は増えません。
それどころか、
昨今のインフレ進行とそれに伴う物価上昇を考慮すると、
むしろ、日本円の『実質的価値』は年々減少しています。
当然、
あらゆる投資対象にリスク(不確実性)は存在しますが、
それに呼応する形で、上昇するチャンスも含まれている。
そして、
『適切な行動を選択する』という前提条件が付きますが、
過去データから見てポジティブに働く可能性は高いです。
それでは、
冒頭に紹介した、近年の急激な『投資意欲向上』により、
果たして、日本人は本当に豊かになっているでしょうか。
残念ながら、一概にそうは言い切れないと感じています。
何故なら、
2023年、資金流入額ランキングの堂々トップとして、
インベスコ世界厳選株式オープンがランクインするから。
ご存知の通り、
インデックス全盛となる時代、eMAXIS Slimが提供する、
米国・世界株式の両インデックスを抑えて堂々首位です。
予め断ると、
インベスコ自体は、世界的にメジャーな運用会社であり、
その点について、意義を唱えるつもりは全くありません。
上記ファンドは、
世界株式のうち、成長・配当・割安をテーマに厳選して、
安定運用と高配当を背景に投資家から支持を得ています。
実際、
2017年1月から84ヶ月連続流入超過が続いており、
遂に、2023年12月には純資産総額が1兆円を突破。
国内の金融業界でも突出した資金獲得力を示しています。
しかし、私が問題視するのは『毎月決算型』だという点。
要は、
ファンド購入直後から分配金が支払われる仕組みですが、
大原則・複利効果を熟知する人物は絶対に購入しません。
仮に、
手数料を差し引いても運用がプラスの時期は良いですが、
成績がフラット化した途端タコ足配当に切り替わります。
因みに、
2023年、資金流入額ランキング・TOP10の中には、
『毎月決算型・分配型』のファンドが3本含まれている。
決して、資産形成の真理を理解しているとは言えません。
投資意欲は着実に高まっていても、金融立国には程遠い。
それが、海外諸国から見たときの客観評価だと考えます。
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2023年1月より【セミリタイア生活】に入っており、
オープン形式の【資産形成セミナー】の開催は未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太