今日のテーマは、『2026年度の一般会計総額が判明、私たち日本人が迎える正念場はこれから』です。
先週末、一般会計予算における各省庁の概算要求額が続々と判明し、来年度(2026年度)の総額が少なくとも122兆円台に達することが確実となりました。
ちなみに、年度の半ばで足らずを補うための補正予算は必ず計上されるため、実際には、来年度の日本は年間130兆円ほどの経費で運営されることになります。
概算要求額に話を戻すと、122兆円という数字は今年度のそれ(117.6兆円)から5兆円ほど増大したものとなっており、直近3年連続で過去最大を更新中。
また、概算要求ベースで110兆円を超えるのは5年連続で、初めて100兆円を突破した2019年度から、わずか7年ほどで20兆円(全体の2割)も歳出が増加したことになります。
このように話題展開していくと、完全に詰んでしまっているように感じてしまいますね。
ただ、私自身、日本の財政に対して真実以上に悲壮感を煽るつもりはさらさらなく、この数字(国家歳出の増大)だけを以ってして日本が終わってしまうとは考えていません。
実際、歳入に目を向けると2019年度の税収は約58.4兆円に留まっていたのに対して、今年度(2025年度)のそれは現時点で78兆円規模になると予測されています。
恐らく、この数字(税収)は来年度も大きく落ち込むことはありませんから、2019年当時と比較したとき、歳出の増加分(約20兆円)をカバーする分は確保できていることになるのです。
つまり、コロナ禍前と比較して、急激に日本の財政が悪化しているという訳ではない。
物ごとを判断する時は、断片的な情報だけでなく、全体を俯瞰する必要がありますね。
しかし、直近数年間、日本を取り巻く経済状況が急激に悪化している訳ではないことを以って、これからの日本が安泰だと楽観することも間違っていると考えます。
何故なら、国家としての累積債務は対GDP200%を超える1300兆円規模まで膨張しており、決して減ることはなく、少しでも気を抜けばコントロール不能に陥る水準にあることは事実だから。
また、円安優勢の為替状況も影響して、一般会計(歳出)は全体的に押し上げられる傾向にある他、社会保障費や防衛費を筆頭にこれから益々増大していくことは既に規定路線として進んでいます。
繰り返しますが、歳出(一般会計)増大という一部分のみを切り取って、悲観する必要はありません。
ただ、日本が置かれた立場や抱えている課題等を考慮すると、決して楽観してはいけないことも事実。
私たち日本人が迎えるであろう本当の『正念場』はこれからの未来にある、それだけは国民一人ひとりがきちんと理解しておくほうが良さそうです。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太