今日のテーマは、『岡山県真庭市のアクティビスト化(JR西日本株取得)について感じたこと』です。
2024年7月、
岡山県真庭市が自治体として1億円もの資金を拠出して、
JR西日本3.4万株を取得したことが話題になりました。
自らの出身地に近いこともあり興味を引かれた内容です。
この行動の背景には、
真庭市内を走る、JR姫新線の廃線に対する危機感があり、
評価指標とされる輸送密度がカットオフ値を下回るため、
存続させるか否かについては常に議論の対象となります。
今夏の株式取得により、
アクティビスト(物言う株主)として、存続はもちろん、
JR西日本に対してサービスの拡充を求めるのだとのこと。
太田昇市長は、インタビューで次のように述べています。
『都市部と地方とでサービスに格差があることは問題だ。
交通系ICカードの導入をはじめサービス向上を求める。』
また、
『真庭市内は徐行運転区間も多く路盤を改良することで、
自家用車から鉄道利用にシフトする人も一定数現れる。』
もちろん、
自治体の首長として、住民(有権者)からの要望もあり、
ポーズとしてこのように発言することも理解しています。
しかし、
冷静かつ客観的な視点で見ると、先ほど紹介した主張は、
経済的観点をスルーした完全に的外れな感が否めません。
例えば、
交通系ICカードの導入という点を考えたとき、果たして、
そこまで利用者ニーズが高いものかは些か疑問を感じる。
実際、
岡山県北部で生活経験のある者として高齢者だけでなく、
若年層でもほとんど不都合を感じていないと想像します。
対して、
それ(交通系IC)を導入・維持するコストは相当なので、
JR西日本サイドが投資した費用の回収可能性はほぼゼロ。
むしろ、
JR西日本の財政状況を悪化させるような主張をする事で、
廃線の可能性を高めるパラドックスさえ生じ兼ねません。
路盤改善による鉄道利用客の増加など、絶対ないですね。
そもそも、
地方で生活している人達はそこまで時間に急ぎませんし、
1時間に1本の電車の速度を速めた所で何が変わるのか。
要は、
その(鉄道を利用した)先に目的地があるかという事と、
他の交通手段があるか否かということが問題の本質です。
もし仮に、
本気で、真剣にそれで利用客が増えると考えているなら、
他の投資家から失笑されるか、心配されるかがオチです。
もちろん、
文字通り『存続』をかけて地方が奮闘し続けていること、
その生活が厳しさを増していることには思いを馳せます。
しかし、
ただ単に、自らの立場と、狭い視点から要望を叫んでも、
物ごと全体の改善はないし本質的な問題も解決しません。
だからこそ、
抽象度の高い視点から、広い視野をもって物ごとを捉え、
経済的視点をスルーせずに考えることが重要と感じます。
——————————————————————–
昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太