今日のテーマは、『10年間で2倍のリターンに満足できない人が、投資詐欺でカモられる』です。
先日、
金融リテラシーを向上させる趣旨であろう番組が、偶然、
公共放送局を流し見していた時に始まったので視聴した。
ざっくり説明すると、
過去に『投資詐欺』の被害にあった芸能人・著名人らが、
その経験についてしくじり先生風にレクチャーするもの。
教室には生徒役のタレントもいるので本家さながらです。
完全に余談ですが、
『お金』のプロフェッショナルとして活動する視点から、
フィクションならまだしも、芸能人・著名人らが実名で、
自らの詐欺被害を赤裸々に語ることは大きなリスクです。
何故なら、
『投資詐欺』に引っ掛かることは薬物依存と同じであり、
その思考プロセスを簡単に書換えることは不可能だから。
恐らく、
本人たちは『過去の過ち』から学んだ気になっていても、
騙すサイドの手口が巧妙化するスピードの方が断然早い。
つまり、
本質的に変化なくとも、アプローチ方法を変えることで、
将来的に必ず、彼ら・彼女らは騙されるときが訪れます。
まして、
彼ら・彼女らは人前に立つことを生業(タレント)とし、
一般人と比べても、格段に顔が知れている可能性が高い。
必然、
玉石混交、様々な人間がアプローチして来ることになり、
本人たちの自覚と関係なく極めてリスクが高くなります。
本題に入ると、
先生役の芸能人が自らの失敗(詐欺被害)を語る場面で、
解説の役割を担う専門家が、次のように話していました。
『直近数十年〜100年ほどの株式市場を振り返った時、
そこから得られる平均的なリターンは年換算で8%程。』
『10年間運用した時、投資元本2倍になる数字であり、
それを超過するリターンを謳う話は、そもそも怪しい。』
投資に明るい人間であれば、この専門家の解説は自明で、
その意見に対して異論なく、私自身も激しく賛同します。
ただ、
私たちにとっては『常識』であり自明と思えることでも、
世間一般では『非常識』ということが多々あるのは事実。
この場面でも、
専門家による『年率8%、10年で2倍』という解説は、
素人等(出演者)をきっと驚かせると予想していました。
実際、
2000年以降、ゼロ金利に慣れ切った日本人にとって、
『年率8%』は決して低い数字ではないと思いますから。
しかし、
私の予想を完全に裏切って、出演者たちが見せた反応は、
『それ(10年で2倍)じゃ私達は動かない!』でした。
もちろん、
彼ら・彼女らはタレントという職業上、役割を果たして、
その場面を盛り上げるために発言したことは理解します。
それでも、
発言が100%賑やかしだったかと言うとそうではなく、
少なからず、本音が含まれていたのではないでしょうか。
繰り返しますが、
資産運用(投資)を生業にする者にとって『年率8%』、
『10年で元本2倍』というリターンの基準は常識です。
もちろん、
投資の世界に絶対はありませんが、歴史を振り返った時、
それ位の数字であれば再現性あることが証明されている。
冷静に考えれば、
『10年で2倍』ということは、運用開始を起点として、
20年後に4倍、30年後に8倍になることを意味する。
仮に、
毎月100万円、年間1200万円を市場に拠出した時、
30年後の時価総額は『1億円』に迫っている計算です。
果たして、この数字を以っても満足されないでしょうか。
『10年で2倍』に満足しない人は詐欺師にカモられる。
騙されるサイドの人間にも一定の責任はあると考えます。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太