今日のテーマは、『地獄へつづく道は、善意で埋め尽くされている:物流2024年問題編』です。
2023年も残り2週間ほどとなり、マスメディアでも、
ちらほら『来年のこと』が話題に挙がり始めていますね。
その中でも、
トラック(物流・輸送)業界を待ち受ける大きな課題は、
物流2024年問題として取り上げられ注目を集めます。
ご存知の方もいるでしょうが、簡単に情報を整理します。
来年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働は、
年間960時間までと上限を制限されて厳格化されます。
これは、
近年、社会的に浸透しつつある『働き方改革関連法』を、
物流・輸送業界にもそのまま当て嵌めることに由来する。
規制の厳格化により、
ドライバーの労働時間は、確実に短縮されることとなり、
必然、物流業界全体の輸送リソースも確実に減少します。
このまま行けば、100%の確率で起こる『事実』です。
それでは、
ドライバーの労働時間が制限され、物流量が減ることで、
私たちの生活にはどのような影響が生まれるでしょうか。
先ず、
前述の通り、世の中全体の物流・輸送量が減少するため、
社会全体ですべての『モノ』の循環が停滞するでしょう。
これは、
某アマゾン等で注文した『モノ』が手元に届かないとか、
商店に『商品』が届けられないという話ではありません。
何故なら、
源流として『原材料』の物流・輸送すら滞ることとなり、
そもそも求めるモノ(商品)の製造自体が出来ないから。
また、
労働時間の制限によりドライバーの収入も減少するため、
通流を担ってきた人材の業界外への流出も考えられます。
事実、
トラックドライバーの人材確保は年々厳しくなっており、
それを理由に、廃業を決断する輸送業者も急増している。
帝国データバンクの調査によると、今年の1月ー9月期、
道路貨物運送業者の倒産件数は『220件』に上ります。
先日は、
別メデイアでも、物流2024年問題が顕在化する前に、
会社の廃業を決断した社長のインタビューがありました。
確かに、
36(サブロク)協定の規定でも時間外労働の上限値は、
月間で45時間、年間で360時間と定められています。
これを基準に考えると、
年間960時間の時間外労働は、月換算80時間であり、
一般的には『過労死ライン』と言えるのかも知れません。
もちろん、
トラックドライバーの方も人ととして基本的人権があり、
『ワーク・ライフ・バランス』を考えることは重要です。
彼らを守る上で、
物流・輸送業界に蔓延っている下請け・孫受けの問題等、
本質的課題を解決する必要があることも理解しています。
しかし、
『働き方改革』をそのまま当嵌めるという安直な発想で、
その問題がスムーズに解決するとはまったく思えません。
30年ほど前、
『事件は会議室で起きてるんじゃない!』と叫んでいる、
所轄の警察官が主人公の大人気ドラマがありましたよね。
物流2024年問題は、
トラックドライバーの労働時間を『善意』で考えた人が、
会議室で結論を出した事により引き起こされた悲劇です。
2024年4月1日以降、確実に日本の物流は停滞する。
地獄に続く道は、常に『善意』で埋め尽くされています。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太