今日のテーマは、『間違っても金融資産:1億円未満でFIREして(退職して)はいけない』です。
正しい出所を把握する訳ではありませんが、直近数年間、
『FIRE』なる言葉が浸透して一気に市民権を得ましたね。
2024年から、
従来制度を刷新した『新NISA』が始動したことも手伝い、
国民の投資熱が高まっていることも一因かも知れません。
私自身、
それを初めて意識した20年前はロバート・キヨサキ等、
世界的ベストセラーの方々がようやく提唱し始めた頃で、
『経済的自由』の認知率は1%にも満たない状況でした。
例えば、
若かりし頃に『セミリタイアを実現する』と息巻いても、
周囲の人間たちは訝しがり、苦々しい顔で見られるだけ。
言うなれば、
固定観念ガチガチで絶賛鎖国中だったかつての日本人が、
黒船来航で初めて『外国人』を見た時のような反応です。
恐らく、
現在であれば、一般の方々に対して同様の発言をしても、
当時より好意的なレスポンスが帰ってくると予想します。
それだけ、
言葉と概念が、一般社会において徐々に周知されてきて、
投資で利益を得ることが受け入れられ始めたということ。
しかし、それは必ずしもポジティブとは言い切れません。
何故なら、
本来であれば高い基準であるはずのそれが軽んじられて、
完全に間違った方向へと独り歩きし始めているからです。
実際、
巷に溢れる『FIREを実現した人物』の情報に目を通すと、
少なくとも私の目には、自殺行為にしか見えないことも。
有名な事例では、
金融資産として『7500万円』の基準を達成出来れば、
早期リタイア実現が見えてくるというものがありますね。
仮に、
それを株式市場で運用すれば、長期スパンでは安定して、
『年率4%』程度の利益を確保することは難しくないと。
その原資であれば、
年間300万円、単純計算で月25万円は確保できる為、
その配当を収入源として生活していくという考え方です。
理屈的に間違っている所はなく、正しそうに見えますね。
また、
米国の早期退職目安『50万ドル基準』になぞらえてか、
5000万円『程度』でリタイアをしようとする強者も。
勇気は讃えないこともないですが、完全に無謀です(笑)
前者の事例で言えば、
その基準(金融資産7500万円)でリタイアしたとき、
直後にマーケットの暴落に見舞われたらどう対処するか。
仮に、
2割が棄損して、時価総額が6000万円に落ちた場合、
そこから生み出される『4%』の利益は年間240万円。
必然、
月々の生活資金も2割カットされた20万円ほどになり、
リタイアした直後から途端に極貧生活がスタートします。
そのように、
息を殺して生きていかなければならないのなら本末転倒、
何のために『FIRE』を実現したのか分からなくなります。
日本円に限らず、
『資本主義』を採用している世界全体の共通事項として、
『貨幣価値』は時間の経過とともに低減をしていきます。
それを考慮すると、
もはや『1億円』は、豊かさの基準として十分ではなく、
前述の通りそれ未満のリタイアは自殺行為に他ならない。
間違っても、判断を誤って仕事を辞めてしまわないこと。
安易なリタイアへの警鐘として話を締めたいと思います。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太