今日のテーマは、『年金制度をめぐる厚労省 VS 日本政府の対立は、どちらが正しいのか』です。
昨日の公式ブログでは、
『問題解決のため微笑みの国が繰り出す奇策』と題して、
タイで導入が検討される年金付宝くじをご紹介しました。
それは、
毎月3000バーツ(約1.4万円)を上限に購入できて、
外れた場合も購入資金は60歳以降出金可能というもの。
もちろん、
これをそのまま日本で導入したら物議を醸すでしょうが、
最も有効で建設的な解決策になる可能性を秘めています。
対して、
私たちが暮らす日本では、これとはまったく異なる毛色、
正統派と言うべきアプローチで打開策を模索しています。
先月(11月)半ば、
厚労省から会社員が加入する厚生年金の積立金を活用し、
基礎年金を底上げする提案がされたことを紹介しました。
しかし、
ここに来て、政府・与党から見直しする意見も出ており、
意見は対立して実質的なNO!を突きつけられています。
ここで、少しだけ情報を整理してから話を続けましょう。
毎年、
改定される年金額は、制度の維持・財源確保の名目から、
マクロ経済スライドによりその給付が抑制されています。
基本的に、
他と比較して潤沢な積立金が確保できている厚生年金は、
現状通りの経済状況であれば令和8年に抑制が終了する。
対して、
基礎(国民)年金は令和39年まで継続することになり、
当然その間も受給額は減少して、1階部分のみ該当する、
自営業者を中心に甚大な影響があると予想されています。
これを踏まえて、
厚生労働省は、基礎・厚生年金ともに抑制期間を揃えて、
令和18年度を終了時期に設定する提案をしていました。
実現されれば、
厚生年金の抑制部分(10年間)の積立金を財源として、
基礎年金に振り向けることで給付額を3割上げられると。
そうすれば、
現時点(令和6年)61.2%あるとされる所得代替率も、
令和18年時点で56.2%とその下落率を抑えられます。
その為にも、
半分相当の国庫負担、2.6兆円の財源確保は急務ですが、
日本経済が成長路線に入ればそこまで圧迫はありません。
しかし、
積立金を本来とは違う用途(国民年金)に使われるため、
実行すると厚生年金加入の会社員の反発は避けられない。
政府・与党は、
先月公表された厚生労働省による提案は、国民に対して、
年金制度の持続可能性に誤解を与え兼ねないとして否定。
あくまで、
2025年以降の日本においても、公的年金システムは、
維持・継続することが可能という姿勢を変えていません。
ただ、
私見では、政治家の先生方がこの世を去った後の日本は、
今よりも断然『シビアな現実』が待つと予想しています。
本気で、
公的年金システムの解決(延命?)を目指すのであれば、
ドラスティックな改革なくしては、決して成し得ません。
資産形成を含めて、『不確実な未来』を予測する際には、
常によりシビアに試算しておくことが私のスタンスです。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太