今日のテーマは、『金利ある世界が戻って来ても手放しで喜べない、日本が抱えるジレンマ』です。
2026年がスタートして3週間ほどですが、債券市場の金利上昇が止まりません。
昨日(1月20日)の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年もの国債の利回りが一時2.380%を付けるまでに急騰、実に1999年2月以来およそ27年ぶりの水準に到達しています。
主な理由として考えられるのは、10年以上先を見据えた長期視点で、日本の財政状況が今よりさらに悪化していくことが懸念されていること。
先日、来月に控える衆院選を見据えて(新党・中道改革連合の後塵を拝する形で)高市・自民党は食料品にかかる消費税を2年間の期限付きながらゼロとする検討に入ったことが報じられました。
もしも本当に実現されれば、国民視点では生活の負担が軽減されてポジティブに働きそうですよね。
しかし、実際にそれ(食料品にかかる消費税ゼロ)を実行すれば、国家サイドとしては年間5兆円規模の税収が減少すると想定されており、日本の財政悪化が一段と加速すると考えられています。
ご存知の通り、現在の日本の運営コスト(一般会計・歳出)は補正も含めて年間130兆円を超えており、税収・その他の収入を合わせて年間90兆円に満たない歳入では全く賄えていません。
必然、キャッシュフローは恒常的にマイナスとなっており、このような借金体質を長期に続けてきた結果、約1300兆円という天文学的なレベルの国家債務を積み上げてしまいました。
因みに、この数字は対GDP(国内総生産)比で250%を超えており、同等の水準で経済的有事を回避できた国家は未だ歴史上存在していません。
もちろん、国家として(完全なる)無借金経営が正しいかは議論の余地がありますが、少なくとも国家債務(借金)がコントロール不能に陥ることのヤバさは理解して頂けると思います。
このように、現時点ですらかなり危機的状況にあると考える日本国の財政状況ですが、冒頭にご紹介した公約(?)が本当に実行されれば、いよいよ回帰不能点を超えてしまう可能性が高まります。
金利の話に戻すと、仮に、新発国債の利回りで現在の水準が続くとすれば、日本政府の支払い金利は来年度(2026年度)早々に1%を超えて、30年度に1.65%、35年度に2.16%と上昇する試算があります。
その場合、昨年度(2024年度)は約7.9兆円で留まっていた国債の利払い費が、約10年後の2034年度には3倍以上の25兆円を超える水準まで膨張してしまうことが見込まれています。
これまでも繰り返しお伝えしてきた通り、日銀・黒田政権下で10年を超えて実行された『ゼロ金利政策』は、金融・経済の根底にある原理・原則を無視してしまった悪手だと考えます。
しかし、日銀総裁が植田政権に変わり、日本経済を正常化すべく『金利ある世界』が徐々に戻って来たと思った途端、コントロール能力を失って危機的状況に陥ってしまいました。
国家の要職にある方々も尽力していますが、日本を救う方法はもうないのかも知れない。
私たちが想定するよりも早く、経済的なXデー到来の可能性が高まっていると感じます。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





