今日のテーマは、『日銀・植田政権が本格稼動、静かにスタートした正常化への道のり』です。
2013年3月20日、
第31代日本銀行総裁として黒田東彦氏が就任して以来、
日本では異次元緩和なる壮大な実験がスタートしました。
その後10年間、
黒田氏の任期中スタンスは一貫して変更されることなく、
ハリボテの効用を超えて、副作用が幾重にも集積します。
最も顕著なのは、
長期金利の指標とされる10年もの新発国債の利回りで、
これは、長期間『0%』にコントロールされてきました。
そのカラクリは、
売り圧力が強まる局面では、金利の上昇を抑制するため、
日本銀行が全勢力を投入して買い支え続けるというもの。
これにより、
もちろん『ゼロ金利』という目標自体は達成されますが、
マスキング市場では金利の正常値が分からなくなります。
また、
その結果、発行総額の過半『580兆円超』もの国債を、
日本銀行が保有するという異常事態が出来上がりました。
基本情報である、
債券における『金利』と『取引価格』の関係については、
過去に書いたので、ここで詳しく触れないことにします。
簡単に表現するなら、逆相関が成立するとお考え下さい。
話を戻すと、
金利水準は信用度(デフォルトリスク)の影響も大きく、
その観点から考えても日本国債の利回りゼロはおかしい。
事実、
日本よりも格付け(信用度)の高い米国債の長期金利は、
昨日(9月20日)一時4.4%台を記録するまでに上昇。
シンプルに考えて、
信用の低い母体の発行する債券が、高い母体のそれより、
利回りが低い状態で取引成立し続けるはずがありません。
この点だけ見ても、いかに異常事態かを物語っています。
しかし、
今年4月に、植田和男・日銀新体制がスタートして以来、
少しずつながら潮流が変化してきていることも事実です。
元々、
上下『0.500%』に許容幅を拡大していた国債金利は、
本日時点で『0.745%』を付けるまでに上昇している。
これは、黒田東彦・前日銀総裁が就任した直後まで遡る、
約10年ぶりとなる高水準であることが分かっています。
その意味は、
金融政策決定会合の決定を前に売り圧力の上昇もあるが、
これまでと異なり日銀が『買い』に入ってないという事。
現実的に、
ポーズであることを内外から見透かされた為替介入より、
新体制の日銀が示す強い姿勢の方が、よほど効果的です。
大きな潮流の変化を起こすには、目立たないことが得策。
ようやく、日本の金利正常化が静かにスタートしました。
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