今日のテーマは、『フィッチによる米国債:格下げは、金融危機のトリガーとなり得るか??』です。
先日8月1日、
米・格付け会社大手のフィッチ・レーティングスにより、
米国債の格付は最高位から『AA+』に引き下げられた。
2011年、
格付け大手のS&Pが、同様に格下げして以来13年ぶり、
最高位を維持する格付会社はムーディーズのみとなった。
格下げの理由は、
今後3年間で予想されている、更なる米国の財政悪化と、
債務上限をめぐる政治的な混乱が、今後も継続すること。
イエレン財務長官は、
これに対して『恣意的で古いデータに基づく』と反論し、
バイデン政権の当局者も、『奇妙で根拠がない』と指摘。
立場上、
これらの方々が示したレスポンスは仕方ないと考えるが、
理論上は間違いなくフィッチの判断(格下げ)が正しい。
何故なら、
米国は恒常的な双子の赤字を抱える『借金体質』であり、
日本ほどでないにせよ、返済不能な国家債務を持つから。
フィッチによれば、
2025年、対GDPの債務比率は『118.4%』に達し、
最高位格付けの中央値『39.3%』の約3倍に相当する。
むしろ、
1994年以来、30年間『AAA格』を維持してくれた、
フィッチ・レーティングスには感謝すべきかも知れない。
理論的には、
米国債の適正な格付けは、日本と同等(AA格)と考えて、
『まったく問題ない』というのが正常な客観評価である。
それでは、
今回の出来事(米国債の格下げ)が、新たな金融危機や、
実際にデフォルトが起こるトリガーとなり得るのか??
以前から、
債務上限問題が騒がれる度、公式ブログでお伝えするが、
『基軸通貨特権』を保有している限りそれは有り得ない。
ここでは、
『善か悪か』という倫理的問題は脇に置いておくとして、
それを保有する限り米国は『無限ファイナンス』が可能。
それを証明するか如く、
震源地・米国の株式市場が、小幅な下落に留まる一方で、
無関係の日本市場が大きく下落する皮肉な状況が起こる。
むしろ、
格下げにより債券市場が揺らいだ結果、流出した資金が、
米国株式市場に向かうというジレンマすら発生している。
本当に、米国債のデフォルト・リスクが顕在化するのは、
米国が、政治経済、軍事的な意味で世界の覇権を失う時。
それは、どうやら『今回のタイミング』ではなさそうだ。
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