今日のテーマは、『イタチゴッコの富裕層規制は、どこまで続くのか??』です。
昨日の公式ブログでは、
『富裕層に対する課税強化は、世界経済のトレンドとなり得るか?』と題して、
覇権国・米国が推し進める、富裕層への『課税強化』の動きをご紹介しました。
数年前であれば、私自身、このような動向に対しては、
『ネガティブ』な立場を取っていたと記憶しています。
しかし、
年月を経て、その考え方も、少しずつ変化して来ました。
どちらが『善い』『悪い』という話ではないと思います。
それぞれで、その結論に至るプロセスは『正しい』です。
例えば、
『富裕層規制』強化の動きは、国家の財源確保に直結するものの、
中長期的には、『金の卵を生む鶏』を失う可能性を秘めています。
何故なら、
テクノロジーの発達により、世界的に境界線が失われる現代は、
規制強化することで、富裕層が域外脱出する可能性があるから。
実際、
世界的多国籍企業においては、それはずっと昔から起こっていて、
税制的メリットある国・地域に本拠機能を置く流れが加速します。
少し前には、典型的事例で『Google』が話題になりましたね。
現在、
世界的事業を展開する同社は、オフショア政策の某国に本拠を置き、
その事業規模(売上規模)に対して、1%未満の納税しかしません。
これに対して、
欧州は、某国とG社に『常識レベル』に納税するよう求めますが、
双方ともに、それぞれのメリットを訴求して、応じてはいません。
意見すると、
『徴税』することで、国家としての『財源』は潤いそうですが、
それ以上に、世界的巨大企業の『存在価値』が重要ということ。
確かに、『Google社』が本拠機能を置いているという事ほど、
世界的に発信する『広告効果』は、存在しないかも知れません。
アフショア戦略を取ることの、『極み』とも言えますね。
しかし、
この流れを、そのまま『野放し』にしてしまっていては、
それはそれで、『歯止め』が効かなくなってしまいます。
昨日の本文中も、
世界中で、驚異的レベルの『経済的な二極化』が進んでいて、
到底、挽回不可能な事態に陥っていることをご紹介しました。
少しだけ振り返ると、
米国の『トップ1%』が、保有している資産総額は、
下位50%の方々のそれの『15倍』に相当すると。
5年ほど前には、
世界的資産家『トップ8人』の保有する資産総額が、
人類全体の『下位50%(約36億人)』のそれと、
ほぼ匹敵するという『衝撃的な報告』も有りました。
要は、
『世界的資産家』と表現される方々、一個人の資産が、
『国家単位』のそれをも、凌駕するという事態にある。
一般的感覚で考えて、『有り得ない』ですよね(笑)
何故、このような『異常事態』が起こっているのか??
それは、
私が、『現代版:資本主義』と表現する現代においては、
性質の異なる2種類の『お金』が存在するにも関わらず、
何故か、それらが同等に扱われる状況にあるからです。
典型的なのは、
会社員という立場の方々が、『労働』を通して得ている収入を、
遥かに凌ぐ『不労所得』を、投資家の立場で得られてしまう事。
例えば、
一応、先進国に分類される『日本』においても、手取りベースで、
『月額100万円』を稼いでる会社員は、殆どいないと考えます。
しかし、
その程度の金額であれば、『寝て、起きたら得られる』可能性も、
投資家という立場は、十分過ぎる確率、起こり得るものなのです。
そして、
『本質的価値』が異なるはずの貨幣が、完全に同一視されて、
現実世界で、どちらも『同等』に使えてしまっているのです。
自分でも、よく分からなくなる状況です。
そういった『社会的格差』を、調整(是正?)していく為には、
イタチゴッコかも知れませんが、『富裕層規制』は必要不可欠。
単純に、『あるものが、支払う』行為は、美しいとも考えます。
最近の事例で言えば、
アルケゴス問題から『ファミリー・オフィス』に注目が集まり、
『ルール無用』と言える運用スタイルが、疑問視されています。
この辺り、
『プライベートバンク』『ヘッジファンド』なる手段も存在しますが、
個人的には、規制を受けない(難い)状況下での『秘密裏取引』です。
もしも、
巨額損失が発生した際、責任が母体のみに帰結するなら良いですが、
閾値を超えてしまった場合、公的資金による救済も十分あり得ます。
これは、
『最大リターン』を求めているにも関わらず、危機が顕在化した際、
『リスク』は放棄できるという、驚くべき『オプション取引』です。
本来であれば、『自制心』により回避したいものですね。
しかし、その実現は簡単ではなく、アインシュタインも次の言葉を残します。
『無限なものは2つ存在し、宇宙(の大きさ)と人間の愚かさだ。』
『ただ、前者は(無限だとは)断言できませんが。』
富裕層(世界的金融機関)を巡る規制は、未来永劫、続いていく。
例え『イタチゴッコ』であったとしても、必要な動きと考えます。
井上耕太事務所
代表 井上耕太