今日のテーマは、『20XX年、人民元が基軸通貨の覇権を奪取するときは訪れるのか』です。
先週の公式ブログでは、
『ロシアの戦争で米ドルの牙城は崩れるのか』と題して、
危機が囁かれる中でも基軸通貨の底堅さを紹介しました。
少しだけ振り返ると、
2年前スタートしたロシアーウクライナ間の戦争により、
一面的に見れば、米ドル一強時代の終焉を感じさせます。
実際、
ロシア国内では、外貨の主流だった米ドル取引が急減し、
地理的・政策的にも親しい隣国の通貨が急進しています。
現在、
同国の外貨取引シェアは人民元が40%を掌握しており、
22年初の1%未満を考慮すると驚異的な速度が分かる。
ここで、
話題に挙がる人民元は、中国の急激な経済成長とともに、
米ドルの覇権を狙う対抗馬としてしばしば注目されます。
果たして、
世間の予想(希望?)が現実のものとなり、20X X年、
人民元は『基軸通貨』の地位を奪取できるのでしょうか。
確かに、
近年、中国はブラジルや中東諸国とは米ドルを介さない、
独自の2国間取引のネットワークを急拡大させています。
特に、
ウクライナ戦争で日米欧の金融制裁を受けるロシアでは、
その重要度が急激に増していることは前述した通りです。
同国では、
これまで、米ドル決済が長年の常識だった原油取引でも、
人民元が浸透しつつあり、取引総量は前年比較で3倍超。
プレゼンスの観点でもドルを抜き去り、首位を走ります。
また、
中国はその他の資源国とも人民元取引を活発化しており、
中東から原油・天然ガス、ブラジルから鉄鉱石等を調達。
相手国にとっても、
当然、約14億人の人口を抱えるマーケットは魅力的で、
中国からのオファーは、そう簡単に無碍には出来ません。
中国自体、
有事の際米国から受ける制裁リスク低減に奔走した結果、
国際決済通貨として日本円を抜いて第4位になりました。
このように表現すれば、覇権奪取の可能性も感じますね。
先ほど第4位と紹介した決済通貨シェアは『5%弱』で、
首位米ドル(約47%)に大きく水を開けられています。
因みに、
EU(欧州連合)の統一通貨ユーロのシェアは23%で、
人民元には、覇権国の前に超えるべき大きな存在がある。
また、
中国自身も外貨準備でドル依存する体質に変わりはなく、
米国債の売却を進めながらも未だ占有率は50%強です。
さらに、
自国民に対して、厳格な資本規制で管理を続けることが、
皮肉にも国際決済通貨として魅力を削いでしまう結果に。
現時点、唯一米国に対抗し得る可能性を秘めている中国。
しかし、覇権の奪取に向けた解決課題は山積しています。
21世紀を代表する大国も大きなジレンマに直面します。
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代表 井上耕太