『既定路線』になり始めた『年金受給開始70歳時代』。

今日のテーマは、『既定路線になり始めた年金受給開始70歳時代』です。

 

 

第二次世界大戦が終焉して、約70年ほど。

 

 

そう考えると、現在の『日本』は想像を絶するスピードで成長してきました。

 

 

日本人はおろか、世界中の誰しも、核兵器を2つも落とされた国が、

半世紀も経たないうちに、『先進国』になるとは考えてなかったと思います。

 

 

私が生まれたのが、昭和59年(1984年)。

 

 

物心つく頃には『バブル』は弾けてしまっていましたが、

それでも、既に経済的に『豊か』になってから、この国に生まれ育ちました。

 

 

私たちの世代(20代、30代、40代)は、

本当の意味で、『貧しさ』を知らない人間が多い世代だと自負しています。

 

 

勿論、

 

 

それは、世界的に見たら『恵まれた』状況で、

そのような環境、時代に生まれたことは、感謝すべきことだと考えます。

 

 

しかし、

 

 

急速な『発展』『成長』は、歴史で見ても常に『歪み』を生み、

私たちに『課題』を突きつけるものも事実だと思います。

 

 

今日テーマで取り上げた、『年金』というものもそうですよね。

 

 

既存の『年金システム』が作られた当初、

日本の『平均寿命』は、現在のそれと比較してもまだまだ短く、

本当に、『長生きリスク』を補完するものとして存在しました。

 

 

支給開始年齢が『60歳』だとしても、その年齢まで達する人は、

現在とは比べ物にならないほど『少数派』だったという訳です。

 

 

『年金保険料』という名前が指し示す通り、

 

 

それは『生起確率の低いイベント』に対して、

国民が平等に資金拠出して、該当者を支える『保険』としての役割だったのです。

 

 

しかし、

 

 

それから時代が進み、『60歳』を迎える事が普通になると、

この制度は維持する事が出来なくなり、大きな『転換期』を迎える事になります。

 

 

実際、

 

 

私は『年金受給開始60歳時代』を記憶として知りませんし、

『65歳受給開始』がスタンダードだと考えていました。

 

 

でも、

 

 

現代では、この『常識』さえも既に成立し得なくなり、

年金受給開始年齢は、年々、繰延べられる雰囲気が充満してきています。

 

 

それもそのはず、

 

 

日本の『国家財政』は悪化の一途をたどり、現時点の累積債務も膨大ですが、

それに加えて、毎年『新発国債』を発行して、単年度会計を対応している状況です。

 

 

そして、

 

 

その問題となる『歳出』の筆頭が『社会保障費』で、

言わずもがなですが、対象者への『年金支払額』は、その中でも大部分を占めています。

 

 

今後も加速する『少子高齢化』を考えると、

(国家財政の)この傾向は、悪化することはあっても、改善はあり得ません。

 

 

何とか、

 

 

悪化スピードを『スローダウン』する方法があるとしたら、

年金支給額を減額するか、年金支給開始年齢を遅らせるしかない。

 

 

恐らく、

 

 

政府としての対応策はこの両方だと考えますが、

顕在化しやすい『年金支給開始年齢繰り延べ』についても、最近は躍起になって斡旋しています。

 

 

例えば、

 

 

昨日(11月2日)開催された『社会保障審議会年金部会』において、

厚生労働省は、年金受給開始年齢を『70歳』まで遅らせた場合の年金水準試算を公表しました。

 

 

それによると、

 

 

70歳まで働いた上で、年金受給開始も70歳まで遅らせた場合、

夫婦2人のモデル世帯では、世帯合計として『月33万1000円』程年金収入があるようです。

 

 

これは、

 

 

現在、多くの方々が考えるモデルケース(60歳定年、65歳受給開始)と比べて、

『月額10万円以上』も増加する計算になります(上記例では月21万8000円支給)。

 

 

*今の時代、これを『モデルケース』と出来るかどうかは賛否が分かれると思いますが。

 

 

財務省が公表する、夫婦2人世帯の平均生活コスト『約26万円』を考えると、

確かに、今回公表された事を実行すれば、何とか生活出来そうですよね。

 

 

と言うか、

 

 

その数値(生活コスト:約26万円)を考慮すると、『後者』を選択する場合、

ある程度の『保有資産』を確保しておかないと、『資金ショート』してしまいます。

 

 

更に、

 

 

『年金支給額(*国民から見たら受給額です。)』が今後漸減していく事を考えると、

今回、厚生労働省が公表した『モデルケース』は、最低レベルとして実行が不可欠な状況です。

 

 

*政府としては、年金受給開始年齢『70歳』以降を選択できる制度整備を進めており、

 『受給開始70歳時代』も、10年も経てば『過去の産物』となってしまうでしょう。

 

 

兎に角、『年金受給開始70歳時代』は『既定路線』になってきました。

 

 

このこともしっかりと考慮して、

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井上耕太事務所

代表 井上耕太

ABOUTこの記事をかいた人

井上 耕太

・独立系FP事務所【井上耕太事務所】代表。
・1984年4月21日生まれ。岡山県津山市出身。
・2008年 国立大学法人【神戸大学】卒業。

【保有資格】
・CFP®(国際ライセンス:認可番号 J-90244311)
・1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格:認可番号 第F11421005598号)

【活動実績】
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