今日のテーマは、『綻び見え始めた太陽光発電事業、有り得ないことは続かない』です。
上手いタイトルが思い付かず、長くなってしまいました(笑)
先日の公式ブログでは、
『老後資金は、果たして、いくら必要なのか??』と題して、
『老後資金2000万円』問題についての『続報』をご紹介しました。
金融庁のみならず、
経済産業省が独自試算したデータにおいても、
老後の一般的な生活で『約2900万円』の保有資産は必要になってくる、と。
この数字、
何も『特別なイベント』を含んでおらず、『普通の生活』を送る生活支出と、
(現行制度で)支給される『年金収入』の収支ギャップとして生まれるものです。
この事実が明らかになり、『それは、そうやろ』と余裕の対応を見せる方と、
『そんなお金、自助努力で用意することは無理!』とレスポンスする方々と。
同じ『日本国民』という立場でも、反応は『正反対』になると思います。
そもそも、
『賦課方式』を採用する『公的年金システム』において、
『少子高齢化』の進展により、制度存続が危ぶまれる事に、何の疑問もありません。
その状況(少子高齢化)において、
逆に、『公的年金システムが維持出来る』と考えていた方々が驚異的存在で、
どういう『思考回路』をすれば、その『解』が導けるのか、私は知りません。
また、
『(超)少子高齢化』の進展も、突発的に生じた『想定外』ではなく、
ずっと以前から、そうなる事が確実に予想された『周知の事実』です。
その状況において、
『準備』を進めなかった方が、もはや『異常』と考えるのが自然であり、
『準備』をしていない方々については、もはや『謎』と言える存在です。
この辺り、
学生時代と共通すると思うのですが、定期テストがあるのは分かっていながら、
その対策の勉強をしなければ、試験で『赤点』を取ることは目に見えています。
一点だけ違うのは、
学生時代は、『赤点』を取っても、叱られるだけで済みましたが、
大人になったら、叱られない代わりに、人生を脅かす『リスク』を背負う事になる。
これからの時代、
『きちんと準備した人』と『何も準備しなかった人』との間で、
これまで、私たちが見たことのないレベルでの『経済格差』が拡がります。
前者が、『経済的』に不安のない快適ライフを送る一方で、
後者は、ホームレスの方々宛ら(*)食うにも困るような人生を送る事になる。
(*ホームレスの方々に対して、差別的な思考は全く含みません。)
むしろ、
直近数十年間、世界の経済大国として恵まれた『日本』という国以外、
海外諸国においては、そちらの方(経済格差)が『スタンダード』かも知れませんね。
兎に角、
『今まで』とは違った時代がやって来る事だけは、『確か』です。
冒頭長くなりましたが、
『老後資産2000万円問題』を通して、お伝えしたかった事は、
『有り得ないことは、起こらない』という、『真っ当な感覚』が大切ということ。
『公的年金システム維持』という思想は、その典型例で、
その『破綻ロジック』も単純明快で、とても分かりやすいので取り上げました。
そして、
同様の事例として、以前から公式ブログでも取り上げてきました、
太陽光発電事業における『固定価格買い取り制度(FIT)』も、然りですよね。
先日、
経済産業省が新たな発表を行い、太陽光・風力発電事業者が発電する電気の、
大手電力による『固定価格買い取り制度(FIT)』を終了を、遂に、宣言しました。
2020年にも関連法を改正し、早期導入を目指すようです。
この制度、内容を理解している方々は、本当に怒れる制度ですよね。
契約を締結した発電業者からは、市場価格から乖離した『不当な高価』な電力を、
大手電力会社が、契約完遂年まで『固定価格』で買い取るという異常な制度です。
何が『異常』かと言うと、
その『市場(適正)価格』との乖離分の『買取価格』は、
消費者である、私たち『家庭』や『企業』といった立場の人間が負担している。
事実、
2019年現在において、大手電力会社の買取費用総額は『3.6兆円』に上り、
そのうち、約67%の『2.4兆円』が消費者転嫁され、負担増を強いられています。
あらゆる分野で『市場原理』が浸透し、適切に効率化された現代において、
特定の『既得権益者』に利益が流れ込む、『時代錯誤』甚だしい制度です。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、
『固定価格買い取り制度(FIT)』自体、欧州では過去に失敗した制度であり、
金融の分野同様、日本は、何故か『失敗策』の導入を奨励する国のようです。
そもそも、
過去にも書きましたが、『ビジネス』とは社会に『価値』を生み出す事であり、
自ら『歪み』を作り出し、それにより『特定の少数派』が利益享受することは、
本来の意味での『ビジネス(事業)』とは呼びません。
2012年。
この制度がスタートした当初から、私は『おかしい!』と声を上げており、
それは、『有り得ないことは、起こらない』という一貫した思考から来るものです。
今後、
売電業者は、自ら販売先を確保する必要性が出てくる為、市場は効率化し、
少し時間は掛かりますが、私たち消費者も『適正価格』で電力を使用出来るようになる。
また、
制度改革等も進み、当初、契約締結した『不当に高価な買取価格』も、
段階的にではあるものの、順次、『適正化』されていくことが予想されます。
『有り得ないことは、起こらない。』
人生全ての場面において、この『真っ当な感覚』を持ちながら、
物事の判断を進めていくことは、私自身、とても有効だと考えています。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太