ライフ・プランニングに『年金制度』を考慮することは得策か??

今日のテーマは、『ライフ・プランニングに年金制度を考慮することは得策か??』です。

 

 

昨日の公式ブログでは、

 

 

『コロナ禍の厚生年金保険料:上限引上げは、何を意味するか??』と題して、

世界的有事の際も進行し続ける、年金システム破綻のサインをご紹介しました。

 

 

少しだけ振り返ると、

 

 

『厚生年金保険料』について、算定基準の標準報酬月額上限値が、

これまでの『62万円』から『65万円』へと引き上げられます。

 

 

これにより、

 

 

上記基準に該当する方々の『厚生年金保険料』は、

月額で『5000円超』増加することになります。

 

 

ただ、

 

 

『厚生年金』の保険料は『労使折半』になっているので、

該当者(会社員)本人の負担増加額は3000円程です。

 

 

恐らく、

 

 

上記報酬額を満たしている方々の『月額3000円』ですから、

殆どの該当者は、給与明細の確認すらせず気付かないでしょう。

 

 

それでも、

 

 

『保険料負担増』という事実に変わりはなく、

『年金制度』が置かれている状況を象徴する、

1つの出来事と言えるでしょう。

 

 

ただ、

 

 

コロナ禍における『年金制度』の法令改定はこれだけではなく、

緊急事態宣言に伴い、日本全国が混乱状態にあった5月29日、

厚労省が国会に提出していた年金法案が、しれっと成立しました。

 

 

今回提出した法案は、

 

 

昨年(2019年)世間に『衝撃』を与える結果が示された、

『年金財政検証』を踏まえて、企画・立案されたものです。

 

 

『常識』として知っておいて欲しいのですが、

 

 

昨年(2019年)公表された『年金財政検証』では、

日本の今後の経済成長率等のパラメータが考慮されて、

年金制度の持続可能性を、6パターンでシュミレーションしたもの。

 

 

この中で、

 

 

『経済成長率』『インフレ率』『出生率』等の項目が、

最悪(?)の結果となった場合のシュミレーションは、

30年以内の『完全賦課方式』移行というものでした。

 

 

これは、何を意味しているか??

 

 

要は、

 

 

現役世代の対象者が支払った『年金保険料』を、

そのまま、高齢該当者の『年金支給』に充てがうという事態です。

 

 

究極の『自転車操業』。

 

 

もしも、本当にその状況が実現してしまったら、

『年金保険料』を支払う人がいなくなりますね。

 

 

それでも、

 

 

『国家』という、最高の暴力機関を行使することで、

『強制徴収』の名の下に、保険料は徴収されますが。

 

 

話を戻すと、

 

 

悲観的事実が記載された『年金財政検証』を元に作成した年金法案ですから、

間違っても、日本の『年金制度』についての『希望』が見出せるはずがない。

 

 

むしろ、

 

 

真実はその『真逆』であり、日本の年金制度については、

今後益々、厳しい状況が待ち受けていると考えられます。

 

 

『年金制度』について、『最後の大改革』が行われたのは、

今からもう20年近く前、私が学生だった2004年の事。

 

 

昨日、

 

 

厚生年金保険料の『対報酬:保険料率』について、

『18.3%』でストップしたとご紹介しましたが、

もし、2003年当時の給付水準を維持するなら、

その後も、段階的に上げ続ける必要がありました。

 

 

『希望的観測』を以てして、

 

 

2030年前半を目処に『25.9%』まで増加させることで、

ようやく、同等の年金給付を行える『可能性』が出てきます。

 

 

しかし、

 

 

この時(2004年)『及び腰』の改革になった為、

『対報酬:保険料率』は上限とする基準に達し次第、

打止めされてしまいました。

 

 

『年金制度』を巡って、大きな流れとして、

日本政府が『やりたいこと』は、明確です。

 

 

1つは、『年金保険料』という直接的な収入を、

如何なる方法を駆使してでも、増加させること。

 

 

そして、

 

 

もう1つは、こちらも、如何なる方法を駆使してでも、

『年金支給額』という支出(コスト)を削減すること。

 

 

冷静に考えて、

 

 

2020年現在、『前者』の道は限りなく閉ざされますから、

今後、建設的に考えられるのは、『後者』という選択肢です。

 

 

つまり、

 

 

日本国民に対する『年金支給額』が、減額・抑制されるということ。

 

 

最も分かり易いのは、

 

 

『年金支給額』をダイレクトに削減(減額)することですが、

今方法を分かり易く推し進めたら、選挙で負けてしまいます。

 

 

となると、

 

 

もう1つの選択肢は、『支給開始年齢:引上げ』であり、

今後、こちらの方向性での検討が進んでいくことになる。

 

 

実際、

 

 

海外諸国に目を向けると、平均寿命が長寿化する傾向から、

『受給開始年齢:引上げ』は、あらゆる国家で起こります。

 

 

例えば、

 

 

日本と比較して、男女とも平均寿命が短い米・英・独の国々は、

年金受給開始年齢として、67歳〜68歳で設定されています。

 

 

一般的に、

 

 

女性と比較して、平均寿命が短いとされる男性は、各国とも、

『10年間ほど』の年金支給を受けて、終焉を迎える形です。

 

 

対して、

 

 

2020年現在、日本国・男性のそれは『81歳超』ですから、

65歳から開始された場合、『17年間』ほど支給を受けます。

 

 

女性に限れば、

 

 

平均寿命から考えて『20年以上』も支給を受ける、

海外諸国と比較しても、手厚い待遇となっています。

 

 

この部分に関して、

 

 

近い将来、確実に『メス』が入れられるものと考えられ、

海外水準並の『給付年数(*)』に削減されるでしょう。

*10年程度(男性)〜15年程度(女性)が目安です。

 

 

2020年以降、

 

 

これからの時代の『ライフ・プランニング』に、

『年金制度』を考慮に入れても良いものか??

 

 

個人的見解では、この質問に対する回答は『否』です。

 

 

少し乱暴な言い方かも知れませんが、

『宝くじ当選』を考慮して、『人生設計』を進めるようなもの。

 

 

事実、

 

 

私のクライアントさん達には、ライフプランニングの場面で、

既存の『年金制度』を、殆ど考慮に入れてもらっていません。

 

 

『年金制度』を考慮に入れない『人生設計』。

 

 

これは、これからの時代の『新常識』になると考えます。

 

 

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井上耕太事務所

代表 井上耕太

ABOUTこの記事をかいた人

井上 耕太

・独立系FP事務所【井上耕太事務所】代表。
・1984年4月21日生まれ。岡山県津山市出身。
・2008年 国立大学法人【神戸大学】卒業。

【保有資格】
・CFP®(国際ライセンス:認可番号 J-90244311)
・1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格:認可番号 第F11421005598号)

【活動実績】
・個人面談【人生を変えるお金のセッション】受講者は400組を超えており(*2022年4月時点)、活動拠点・大阪のみならず、全国から面談依頼が舞い込む。

【クライアント】
・経営者、医療従事者(医師、看護師、薬剤師 etc.)、会社員(上場企業勤務、若しくは、年収500万円以上)

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