今日のテーマは、『繰り返される不動産バブルは、クズネッツ循環そのままに』です。
結論から言います。
今の日本における、大都市圏は『不動産バブル』の真っ只中です。
『神話』のように、
『2020年:東京五輪』までは大丈夫と言われてきましたが、
その『魔法』も解けつつあり、既に、一部では『綻び』を見せています。
実際、
『都心部の新築マンションが全く売れない』という情報も入って来ており、
現時点で、ディベロッパーサイドは『火の車』の状況に追い込まれているようです。
一般的に、
『分譲マンション』は第1期における売出しの際、
『過半数』が即日成約しなければ、『全棟完売』しないのが業界内の『常識』です。
しかし、
現在では、その『常識』基準にまったく『結果』が追い付かず、
意図的に売出軒数を抑えて、『活況感』を演出する会社もあると言います。
事実、
丁度1ヶ月前の6月17日、不動産経済研究所発表の『首都圏マンション市場動向』では、
取引価格が高水準で推移する『不動産市場』が、完全に下落に転じている事を示しました。
「東京23区』においては、
今年(2019年)5月度の新築マンション発売戸数は『781戸』に留まり、
前年(2018年)同月比として、『36.3%』も減少しています。
更に、
首都圏全体で見ると、4月に発売された新築マンションは『1421戸』と、
『4月』として『1500戸』の基準を割り込んだのは『27年ぶり』です。
実に、
前回のバブル崩壊直後、『1992年』の水準に逆戻りした形となります。
また、
同時期6月10日に『全国宅地建物取引業協会連合会』より発表された、
『不動産市況DI指数』の数字も、軒並み下落(悪化)に転じています。
同指数は、
『3ヵ月前』と『現在』の不動産価格推移や取引実績を比較調査することで、
『現在』又『3ヵ月後』の土地価格が上昇傾向・下降傾向にあるを数値化したもの。
これによると、
今年(2019年)4月に行われた調査では、『東京』を始めとする関東は、
2調査連続での『マイナス』を記録し『▲3.1ポイント(前回比2.6ポイント下落)』を示しています。
更に、
『3ヵ月後』の見通しに至っては、日本全国ベースで『▲6.2ポイント』が予想され、
特に関東圏では、『▲12.8ポイント』という『大幅下落』の予測が出ているのです。
このような状況に追い込まれた理由は、とても『シンプル』です。
ここ数年、『不動産バブル』で活況を極めたディベロッパーが調子に乗り、
市場全体の『需要』を大きく上回るマンションを『供給』し続けてしまったから。
学生時代、どんなに『社会科』の授業を聞いていなかった人でも、
『市場価格』を決定する『需要・供給曲線』くらいは見たことがあると思います。
2019年現在、
『総人口』が減少に転じ、『移民』も受け入れない日本国にとって、
『居住者』が限られている以上、『住宅供給』を増やせば『販売価格』は崩れる。
このシンプルな理屈は理解していたものの、
いざ、『不動産バブル』で煽られると、その雰囲気に飲まれて、
居住用・投資用限らず『新築マンション』を手に入れてしまった方々が多くいます。
その方々は、これから、ちょっとした『地獄』を見ることになります。
一説によると、
ここ数年の日本市場の『不動産バブル』を下支えして来た『中国人購買層』が、
市況の変化を敏感にキャッチし、『売り』に転じ始めていると言われています。
もう暫くして、
この『事実』が、不動産業界内に浸透して『素人層』まで伝わると、
今まで信じられ続けて来た『不動産神話』が、一転『幻』かの如く、
突如、『崩壊』していく場面が見られるかも知れません。
『メリット』ばかりに気を取られて、
『リスク』を盲点化していた方々は、今後『眠れぬ夜』を過ごすことになりそうです。
更に、
不動産価格の早期下落に拍車をかけそうなのが、
公式ブログでも度々取り上げている、今年10月に予定されている『消費増税』。
『新築物件』の価格高騰に『夢』破れた人たちが、
個人所有の『中古物件』に消費税がかからない現実の『数字』を目の当たりにして、
『中古市場』に、大挙して流れ込んでくることも、決して、想像に難くありません。
そうなれば、
『新築物件』の販売動向も、より一層の『冷え込み』を見せることになり、
2019年内にも、『不動産市場』の崩壊が顕著になる可能性も有ります。
『クズネッツ・サイクル(クズネッツ循環)』
米国経済学者『サイモン・クズネッツ』が、1930年に提唱した、
『建設需要(住宅・商業施設)』に起因する『約20〜30年周期』の経済サイクルです。
奇しくも、
前回、日本が『不動産バブル』に湧いたのが、
今春終わりを遂げた『平成』という元号が、スタートする直前の『1980年代』。
それから、
『約30年』という典型的な時間経過を経て、
今、日本が迎えているのが大都市圏を中心とした『不動産バブル』です。
『時代は繰り返す』
この言葉を念頭に置きながら、『不動産市場』も、引き続き注目していきましょう。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太