今日のテーマは、『厚生年金対象者の適用拡大は、本当に国民のためを考えての制度改正か』です。
以前から、
政府の中で議論されていた厚生年金対象者の適用拡大が、
着実に歩を進めて、コンプリートされようとしています。
現行制度では、
従業員数101人以上・週20時間・月収8.8万円以上、
若しくは100人未満・週30時間以上労働が加入条件。
今回、
『従業員数』で規定されている企業規模条件については、
近い将来、完全に撤廃される方針が固まりつつあります。
基本を確認しておくと、
公的年金は全員加入の基礎年金がベース(1階)にあり、
対象になる被雇用者は2階部分に厚生年金が存在します。
これまで、
パート・アルバイトの非正規雇用者は2階の該当がなく、
1階部分のみであれば、現在の満額受給は月額6.8万円。
もちろん、この額では余裕を持って生活できませんよね。
そこで、
厚生年金の適用条件を緩和することで、加入者を増やし、
将来的な年金受給額を増やしてあげようと考えていると。
このように話題を展開すると、『聞こえ』が良いですね。
果たして、これは本当に真実を表しているのでしょうか。
もちろん真っ赤な嘘で、裏に隠された真意が存在します。
そもそも、
以前、内閣府公表の統計資料として厚生年金システムが、
1970年代以降に生まれた50代前半より下の世代で、
トータルでは『払い損』になることが明示されています。
つまり、
現時点で『現役世代』とされる人たちはリターンがなく、
ただただ、保険料を惜しみなく奪われていくということ。
当然ですが、
今後、加速度を増して『少子高齢化』が進展する日本で、
この傾向(公的年金の保険料払い損)は変わり得ません。
確かに、
今まで対象外だった方々が厚生年金に加入させられたら、
見せかけの年金受給額はこれまでよりも増えるでしょう。
しかし、
それは、そもそも自ら追加で支払っていた保険料であり、
トータルすれば、マイナス運用になることは前述の通り。
極論、
厚生年金なんて加入せずに、保険料分を支給してくれて、
それを原資にNISA口座で運用した方が確実に増えます。
今回の改定で、
本質にあるのは、すでに瀕死状態にある公的年金制度を、
延命する為には取れる所から確実に徴収するということ。
税金同様、
戦後の源泉徴収システムが今尚残っている会社員給与は、
公的年金においても最適な保険料の獲得手段になります。
『地獄』へと続く道は、『善意』で敷き詰められている。
厚生年金に関する改訂も、その典型的な事例と言えます。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太