今日のテーマは、『私たち日本人が抱えている、潜在的な時限爆弾に気付いていますか?』です。
先日7月29日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所より2023年度の社会保障(年金・医療・介護・福祉)給付費が公表され、総額が135兆円4982億円にのぼることが判明しました。
2023年は5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したことで、それに関する給付金・補助金が大きく減少したこともあり、前年度比としては約1.9%のマイナス。
それでも、過去3番目と高い水準にあることは変わりなく、意識・無意識に関わらず、高齢化の進展は絶えず私たち日本人に対して経済的なプレッシャーをかけ続けています。
少しだけ情報を補足すると、社会保障給付135.5兆円の内訳は、年金が約56.4兆円、医療費が約45.6兆円、子育て支援・介護を含む福祉その他は約33.5兆円と3つに分類できます。
ご存知の通り、これを国民全体から広く徴収している各種社会保険料と、その足らずは税金を投入することで賄っていますよね。
2025年現在、一般会計予算で見込む社会保障費は年間40兆円に肉薄しており、高齢化の進展に伴い、この数字は毎年1兆円ペースで増大し続けています。
因みに、高齢化率(総人口に占める65歳以上の人の割合)が12.1%に留まっていた1990年当時、社会保障費は年間11兆円ほどで賄えていました。
それが、世界のトップランナーとして高齢化率が30%に迫ろうとする現代の日本では、前述の通り、社保費は年間40兆円規模に大爆発を起こしています。
当然、今後もそれ(高齢化率)は上昇し続けて2040年には35%に達すると言われており、その時、現行制度を維持すれば社会保障給付は165兆円規模にまで膨張することが予測される。
また、1990年以降の『失われた30年』を経ても日本人の平均年収は400万円台半ばで推移していますが、数字と実態は異なっており、税・社会保険料の増大により可処分所得は大きく減少。
巷では、異次元のスピードで進む少子化が社会問題になっていますが、子供を持つ・持たない以前に、30代以下の若年層は収入が低過ぎて(その前のステップである)結婚すら遠い夢になりつつあるのです。
そうなれば、さらに高齢化の進展に拍車がかかることは明らかであり、必然、将来の日本を背負うはずの子どもたち・現役世代へのプレッシャー(しわ寄せ?)はますます増大することになる。
このように、負のスパイラルを抜け出せない日本は潜在的な『時限爆弾』を抱えています。
人口構造の歪みが極大化する今、私たちは完全に予測不能な時代を生きることになります。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太