今日のテーマは、『春闘で連発された満額回答により、日本の個人消費は回復するか』です。
昨日の公式ブログでは、
『初任給のアップは、従業員にとって朗報か』と題して、
それが長期視点で与え得るマイナス作用を紹介しました。
善・悪の話ではなく、人は眼前の事象に囚われ易いです。
実際、
『初任給』をアップすればより多くの人を引き付ける為、
企業サイドとしては優秀な人材を選抜することが出来る。
しかし、
何も策無く、無条件に『人件費総額』をアップさせても、
投資家(株主)からコンセンサスは絶対に得られません。
よって、
必然、中堅以降の社員が取り残されるケースが多くなり、
それは時間をおいて若手社員にも跳ね返って来るのです。
このように表現すると、
いわゆる『大企業』に所属している会社員の方々からは、
次のような反論・反発が返ってくる可能性がありますね。
『ウチは春闘も満額回答で、中堅も給与アップいてる!』
また、
6月、7月は多くの企業で夏季賞与の支給も控えており、
ベースアップの分だけ多くの企業で増額が見込まれます。
実際、
先日、帝国データバンク公表の夏季賞与調査においては、
1000社を超える有効回答企業のうち、半数にも迫る、
約46%が前年比較として賞与支給額が増額すると回答。
元々、
賞与制度を有していない全体約15%の企業を含めても、
夏季賞与の増額は、調査対象企業群の4割に相当します。
また、
従業員数1000人を超える『大企業』の条件を付すと、
2社に1社の割合で賞与アップする事が分かっています。
このように、
とてもポジティブに捉えられがちな結果が出ていますが、
これを以って、個人消費は回復すると言えるでしょうか。
ここでも現実は、理屈通りには進まないかも知れません。
先ほど、
全体4割、大企業半数が実施すると述べた賞与増ですが、
支給額の上昇率まで目を向けると、平均でわずか2%程。
これは、
直近1年間のインフレ・物価上昇に食われる数字であり、
現実的な効力を示す『実質賃金』としてはマイナスです。
つまり、数字上増えても、現実は減っているということ。
実際、
厚生労働省より公表される、毎月勤労統計調査によると、
4月の実質賃金は過去最長の25ヶ月連続でのマイナス。
もちろん、
昨年から続く、春闘の『満額回答』に嘘はありませんが、
日常生活でリターンを享受出来ていないことも事実です。
奇しくも、
日本の株式市場には、底堅く投資マネーが流入しており、
日経平均株価も、再び4万円の大台突破を目論むこの頃。
この状況も、
投資家・株主には朗報で、メリットを齎らしてるものの、
従業員サイドが恩恵に与ることはどうやらなさそうです。
実質賃金が増えない以上、個人消費の好転もありません。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太