今日のテーマは、『マネパを追求し過ぎると、あなたは資産形成に失敗する』です。
最近では、
1990年代半ば以降生まれの『Z世代』を中心として、
『コスパ』『タイパ』なる言葉・概念が流行しています。
少しだけ補足すると、
『コストパフォーマンス』『タイムパフォーマンス』を、
それぞれ口にし易く、シンプルに略して使っているもの。
確かに、
『費用対効果』『時間対効果』を適切に検証することは、
ビジネスをする上では勿論、プライベートでも重要です。
しかし、
あらゆる物事に共通して『最大効用』を求め過ぎるのも、
スコトーマ(盲点)が働いて、大切なものを見失います。
数ヶ月前の公式ブログでも、コスパ、タイパなる概念を、
追い求め過ぎることのリスクについて言及していました。
それから暫くして、
現代の『変化』の速度は凄まじく、最新の価値観として、
Z世代で『マネパ』なる概念が重要視されると聞きます。
何でも、
商品・情報・サービスを購入する際、決済手続きですら、
『手間・時間を最小限にしたい』と思っているのだとか。
実際、
ニーズに対応すべく提供された『BNPL』なるサービスは、
Z世代の4人に1人が利用する『即時決済システム』です。
*『BNPL:Buy Now Pay Later』の頭文字を取るもの。
電話番号・アドレス入力のみで後払い決済が可能になる。
これまで、
人類が発展した根底には『面倒くさい』の考え方があり、
それを解消することでテクノロジーが進化して来ました。
しかし、
コスパ、タイパ同様、閾値を超えて、全てのプロセスを、
面倒くさがってしまう風潮には、危機感を覚えています。
それだけ、私も『年齢』を重ねたということでしょうか。
ただ、
やはり『資産形成』の観点で考えた時にも、この傾向は、
『望ましくない結果』をもたらすことを確信しています。
10年以上前、
世界の決済システムが、現金・カードの2択だった時代、
ある『興味深い調査結果』が記憶に残っているからです。
それは、
人は、クレジット決済する場合、現金決済時と比較して、
平均『約17%』大きな金額を使ってしまうというもの。
導かれた結果の原理は、簡単に説明することが出来ます。
元々、
人間が行動を起こすとする動機は、野生の動物と同様で、
大きく分けて、次の2つの『本能』に支配されています。
行動する動機の1つ目は、『快楽』を求めるというもの。
そして、
効果がより強力なのは『痛み』を避けるという動機です。
恐らく、
これまでの人生経験を通して、体験的に理解できますが、
買い物とは、間違いなく『快楽を求める行動』ですよね。
実際、
欲しかったものを手に入れた(決済した)正にその瞬間、
脳内には、ドーパミン等の快楽物質が分泌されています。
反対に、
(特に現金という手段)『決済する』という行動自体は、
保有資産が減少するため『痛み』として認識されている。
そして、
この相反する『行動の動機』のバランスを保つ事により、
私たちは日々『理性』を保ちながら生活しているのです。
しかし、
先ほどご紹介した、10年以上も過去の調査結果ですら、
クレジット決済の『痛みの低減効果』を実証しています。
時は流れて、
現代で主流になりつつある、QRコード等の決済手段は、
低減どころか、体感する『痛み』はゼロ効用に達します。
つまり、
本来、体感するはずの『痛み』を極限まで取り除いたら、
人は、果てしなく『快楽』を求める方向に動くという事。
20代前半、
まだ『資産形成』をスタートしたばかりの頃、幸運にも、
某・世界的投資家から、直接話を伺う機会がありました。
その時、彼が話した言葉は、今も記憶に深く刻まれます。
『もし君がお金を使ったら、その分だけ減るということ』
『この単純すぎる理屈を、人類の大半が理解していない』
『だから、99%以上の人間がお金持ちになれないんだ』
過度に『マネパ』を追い求める事は、大きなリスクです。
それを重視する思考回路に陥っている人は、自分自身が、
ビジネスを仕掛けるサイドの『カモ』だとご認識下さい。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太