今日のテーマは、『トヨタ自動車、春闘:満額回答が抱えているジレンマ』です。
厳しい寒さの中、某巨大企業の決定が世間を賑わせています。
速報が流れていたので、ご覧になられた方々も多いでしょう。
トヨタ自動車、異例の速度での『春闘満額回答』の報道です。
今回、
労働組合側の要求は、月額1600〜4900円賃上げと、
年間一時金(賞与)『6.9ヶ月分』の確保という内容です。
これを受けて、
経営側と労組による第1回協議の場で、豊田章男社長自ら、
『会社と労組の間に認識の相違はない』とコメントします。
勿論、
正式な決定は、来月(3月)中旬ごろを予定していますが、
事実上、労使交渉は、『初回決着』する運びとなりました。
更に、
『550万人に良い風が吹くことを期待』と言葉はつづき、
この流れが、自動車業界全体に波及することを匂わせます。
当然、
業界全体に向けた、このメッセージは好意的に捉えられて、
リーディング・カンパニーの姿勢をも示す形となりました。
コロナ禍、
雇用面・収入面に不安を抱えている人が、大半を占める中、
トヨタ自動車を羨望の眼差しで見つめる人も多いでしょう。
しかし、
世の中、凡ゆる物事に共通して、『メリット』のみ存在し、
『デメリット』が存在しないということなど有り得ません。
有名な言葉では、
『光が強くなれば、その影は濃くなる』というものもある。
この事例でも、
『真理』は働いており、前述した決定が高く評価される程、
トヨタ自動車が抱える『ジレンマ』は、歪みを大きくする。
ここで、
皆さんに、思い出して頂きたい『事実』が、1つあります。
今から2年前、
中西宏明・前経団連会長が、『終身雇用終焉宣言』した際、
時を同じくして豊田社長は次のようにコメントしています。
(*中西宏明・全経団連会長は、昨年亡くなられました。)
『終身雇用は、企業サイドにとってインセンティブがない』
日本No. 1企業による事実上の『終身雇用終焉宣言』です。
因みに、
実際、トヨタ自動車は、株式時価総額ベース日本No. 1で、
2021年9月期中間決算において、純利益1兆円を計上。
つまり、
日本で、最も潤沢なキャッシュ(現金)を保有する企業が、
日本型雇用体系の象徴『終身雇用』を否定しているのです。
冒頭ご紹介した、
『春闘満額回答』は従業員フレンドリーに捉えられますが、
その一方で、過去には明確に『終身雇用終焉』を宣言する。
短期的スタンスと、長期的スタンスには『歪』が存在する。
『ジレンマ』の接点は、どうデザインするでしょうか??
お断りしておくと、
このように話題展開する中で、間違って欲しくないことは、
日本No. 1企業(トヨタ自動車)を否定する訳でないこと。
そうではなくて、
『日本No. 1企業』ですらそのスタンスを表明している今、
『終身雇用』に関する危機は、全国民が該当するという事。
これからは、
自ら『価値創出』して、『収入』を生み出す能力に加えて、
その収入源も『複数』確保しておくことが求められる時代。
万事に共通することですが、切羽詰まってからでは手遅れ。
精神的余裕がある時から、『準備』する事をお勧めします。
オープン開催(どなたでも参加可)資産形成セミナーは、
現時点、2022年以降の開催スケジュールが未定です。
——————————————————————–
*個人面談ご希望の方は、直接お問合せ頂けたら幸いです。
*井上耕太事務所:michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所
代表 井上耕太