今日のテーマは、『マイホーム大国で起こる価値観の変化に気付いてますか??』です。
『マイホーム大国』
完全に、私の『造語』ですが(笑)、
この言葉を聞いて、読者の皆さんは、どの国を思い浮かべるでしょうか??
確かに、
私たちが生活する『日本』という国においても、
『マイホーム(分譲マンション含む)』を所有することは、根強い『願望』があります。
いや、『日本(人)』だけではないかも知れませんね。
100年程前、ジョージ・S・クレイソンにより書かれた、
『バビロンの大富豪』という、時代・国家を超えて読み継がれる名著があります。
私自身、
昔から、『火事の際には、必ず持ち出す1冊』と言い続けていて、
この書籍の教えがあれば、何度でも『1』からやり直せると考えています。
それ程、
『資産形成』においては、普遍的真理を伝えている同著ですが、
1つの教えに『家を所有する』というものが、出て来てしまうんですね(笑)
コア読者の皆さんは、ご存知頂いていると思いますが、
私自身、『マイホームの所有』ということに関しては、完全に『否定派』です。
その理由は後述するとして、完全にこの主張は合理的だと思うのですが、
歴史的名著にすら出て来てしまうほど、『マイホーム信仰』は世界中に存在するという事です。
本題に戻りますが、
日本と同等か、それ以上に『マイホーム大国』という言葉がぴったりなのは、
この公式ブログでも『世界の覇権国』として、度々登場している『米国』です。
元々、
不動産市場の『仕組み』自体が、日本と比較して大きな『相違点』があり、
『ノン・リコース・ローン』が基本の同国では、取得にあたる『リスク』、
それに伴う『心理的ハードル』が低いという事も起因していると考えます。
何にせよ、
日本と同等か、それ以上に『マイホーム所有欲』の強い国民性の同国では、
これまで、日本同様に『マイホーム』を所有することに疑問を抱きませんでした。
が、
これまでは『常識』と考えられ続けてきた、その『価値観』に、
最近は、主に、大都市圏を中心として『変化』が見られて来ていると言います。
実際、
全米における『住宅所有率』の変遷を数字で見てみると、
2005年から2015年の『10年間』という期間の中で、
『68.8%』から『62.7%』と6ポイント下落しています。
これ(2015年水準)は、1985年の『63.5%』を下回る数字です。
また、
2000年から2015年の『15年間』という期間で見た場合の『住宅所有率』は、
全米大都市(381都市)の中で『約90%(343都市)』も下落している事が分かりました。
更に、
『人口100万人』以上を有する『大都市』に限定すると、その傾向は顕著で、
全体(全米53都市)中の『96.2%(51都市)』で減少しているとのこと。
少しだけ掘り下げると、
世界的な有名都市圏『住宅所有率』は、ロサンゼルス、ニューヨークで半数を切るのは勿論、
『サンディエゴ:52%』『サンフランシスコ53.5%』『サンノゼ:56%』と軒並み低率を誇ります。
前述の通り、
住宅取得時の『ローンの仕組み』としても、日本と比較して有利なことに加えて、
『中古物件』の価格下落が緩やかと言われる米国においても、このような状況です。
『時』が流れ、『時代』は進み、
経済活動の主流となりつつある『ミレニアル世代』と呼ばれる私たちは、
世界的に見ても、『モノ余り』の時代に生まれ・育ち、
『所有』に対する欲求は、その親の世代ほど強くないと言われています。
『マイホーム』に限らず、
あらゆる物事において『所有』というのは、『所有者』がリスクを負うことになります。
確かに、
産業革命時代以前、『人』に対して『モノ』が不足していた時代であれば、
その『所有リスク』を負ってでも、『所有』する事が、意味を持った時代があるかも知れない。
しかし、
様々なテクノロジーが発達し、地球上に存在する『人』の需要以上に、
『モノ』が供給出来るようになったのが『21世紀』という時代です。
(*実際は、20世紀の後半4分の1は、その時代が訪れていました。)
その状況(需要<供給)において、
『親の時代』の価値観を引っ張り続けたまま、
『マイホーム所有信仰』を継続することを『得策』と考えないのは、私だけでしょうか??
『日本市場』に目を向けると、
2025年の大阪万博の『影響力』は甚だ疑わしいですが、
来年2020年の東京五輪については、あと1年間ほど経済に『影響力』を発揮します。
このイベントが後押ししてか、
東京、大阪といった大都市圏を中心として、
現在、『不動産バブル』が巻き起こっているということは、常々述べている通りです。
実際、
『投資系・分譲マンション』の場合、完成から『1ヶ月間』での販売状況が、
その物件全体として、『完売』するか・否かを左右すると言われています。
その状況で、
都心部を中心とした、『投資系マンション』供給過剰により、
現在、完成から1ヶ月間の成約率が『50%』を切る物件が急増しているのだとか。
確かに、
『歴史的超低金利』時代が継続している日本において、
金融機関は、『有望な融資先』を他に見つけることが出来ず、
『素人・会社員投資家』に貸し出すしかない状況があります。
ただ、
既に、完全『バブル期』にある不動産市場において、
これからの市場参加者が摑まされるのは『時限爆弾物件』であり、
それが弾けた時、どのような惨状に陥るのかを、誰も知りません。
『不動産(マイホーム)信仰』
果たして、これは、未来永劫、いつの時代も正しいのでしょうか??
日本以上の『マイホーム大国』で起きている『価値観変化』から学び、
私たち日本人も、正しく『リスク評価』する事が大切な時代に入ってきました。
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代表 井上耕太