今日のテーマは、『ゆうちょ銀行預金限度額引き上げ報道から見えてくるもの』です。
タイトル通りです。
『ゆうちょ銀行、預入れ限度額撤廃の可能性』
このような報道が、先日出て来ました。
皆さん、反応されているでしょうか??
以前は一個人あたり『1000万円』に制限されていた貯金額も、
2016年4月1日より、『1300万円』まで増額されました。
それからまだ2年ほどしか経過していない訳ですが、
早くも、『預入れ限度額撤廃』報道が出て来ています。
東京、大阪を中心とした都市部ではそこまでではないかも知れませんが、
地方に行けば、『ゆうちょ』は筆頭地方銀行同様、住民から絶大なる信頼を得る金融機関。
そんな金融機関が『預入れ限度額』を撤廃すれば、
他金融機関預金者の『資金シフト』も考えられ、金融業界からは反発を受けることは必須です。
現に、
地銀協の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は、
3月14日の会見で、既に牽制とも取れる発言を『ゆうちょ銀行』側に投げかけています。
ここまで名前がメジャーでもあるにも関わらず、
『JAバンク(農協)』同様、未だ多くの謎を秘める金融機関『ゆうちょ』。
以前、
簡易郵便局長をされている方々の会合に参加させて頂いた際は、
誰かが亡くなった際、『当局から、財産照会をかけられたことがない』という事が話題になりました。
他の金融機関であれば、死亡届出をした時点で、
その人名義の金融機関の口座は、一斉にロックされてしまいますよね。
また、
話はまったく変わってしまいますが、『海外送金』をする際も、
『ゆうちょ銀行』のそれは、他金融機関を活用する場合と別格になっています。
具体的には、
『ゆうちょ銀行』以外の金融機関では、現在、
理屈として『海外送金』は出来ると言われているものの、
実務上かなり面倒くさい手続きを経由することになっています。
『過剰な質問項目』を設けた書類の山と、『割高な手数料』と。
一度でも経験された方はお分かりになると思いますが、
『こんなに面倒くさいなら、次回からやめよう。』と思わす作戦が敷かれています。
対して、
『ゆうちょ銀行』では、窓口担当の局員が親切に説明。
必要書類も1枚にまとまっており、解説パンフレットまで作成している親切さです。
こちらも実際に経験された方はわかるでしょうが、
局員も『通常業務』として対応してくれて、
むしろ、『ウェルカム』といった雰囲気すら感じさせられます。
このように、少し例を挙げただけでもわかりますが、
日本にありながら、『ゆうちょ銀行』は他金融機関と一線を画す存在なのです。
話を元に戻すと、
そんな『一線を画す』存在の『ゆうちょ銀行』が、
『預入れ限度額を撤廃するかもしれない』という報道が出て来た為、
他金融機関は大きな反応を示しました。
しかし、
実際を見てみると、
前回の『限度額引き上げ』が起こった際の『預金シフト』は、
『3.2兆円』程度で、想像していたよりも起こっていません。
むしろ、
『預金増価額』の観点では、
(何の変更も無かった)他金融機関に取り負けている部分・地域もあるくらいです。
事実、
家計の金融資産全体に占める『ゆうちょ』の割合も、全国平均で、
2015年3月期『9.9%』から、2017年9月期『9.6%』と減少傾向です。
『もはや、ゆうちょ銀行に優位性はない』との業界意見も出ていますが、
これは、数字上の変化を見れば、あながち間違った発言でもなさそうです。
『それでも』、という話です。
私は、地方都市、都市圏のどちらでも生活した経験を持ちますが、
やはり、地方に行けば行くほど『ゆうちょ』が絶大なる信頼を得るようになります。
全国平均になれば『預金シフト』は起こっていないかも知れませんが、
今後、営業マンをかけることによって、特に高齢者資金の移転をすることは可能です。
現在でも、既に『預入れ総額』で考えると、
日本トップどころか、世界でも有数の規模を誇る『ゆうちょ銀行』。
世界でも豊かな『日本人』の個人資産のかなりの部分を握る、
おしとやかに見えて(派手さはなくとも)、相当に強かな戦略を持った金融機関です。
そして、
『ゆうちょ銀行』について、もう1つ忘れてはならないのが、
『日本郵政(日本国政府)の出資比率が、未だに約74%ある』という事。
小泉純一郎元首相が、『郵政民営化!』を声高に叫ばれていたのは、
私がまだ高校生だった、15年以上も昔の話です。
その後、
順当に『民営化』したと私たちは考えているので、
未だにそれだけ『政府の息』がかかっている事も知りません。
そのような関係性が続いているので、
『ゆうちょ銀行』が保有する金融資産は、言わば、政府の管理下にあるのと同じ事です。
記事の前半で、様々な手続きの優位性を述べましたが、
これも、この『仮説』を考慮する事で、全て合点がいきます。
特に、
日本経済の経済状態がどんどん悪化している現状で、
国民資産をさらに飲み込み、政府のより管理しやすい場所へ誘導して行く。
果たして、これは考え過ぎなのでしょうか??
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井上耕太事務所
代表 井上耕太