今日のテーマは、『年収1500万円で億ションに住めるの定説は、果たして真実なのか』です。
呪縛から解けて、
日経平均株価が34年ぶりにバブル期の最高値を更新し、
底堅く4万円台をキープしながら推移する日が続きます。
その状況下、
投資を実行する人たちの好況感は、株式市場に留まらず、
国内の不動産市場も、数十年ぶりの活況を呈しています。
特に、
東京23区内の上昇率は、他と比べても群を抜いており、
前年比28.8%増、物件平均価格は約1億1400万円。
まさに、異次元とも言える水準で推移するのが実情です。
今春、
大企業を中心に春闘での満額回答が話題に挙がりますが、
それでも、大卒社会人の生涯年収は3億円〜4億円程度。
当然、
社会保険料・税金を除く可処分所得は3億円を割り込み、
その状況で居住コスト1億円超は完全にキャパオーバー。
もちろん、
人生をフルベットする覚悟があるなら良い(?)ですが、
確実に他要素が犠牲になることも理解しておくべきです。
それでは、
話題の『1億円』を超えるマンション(タワマン等)は、
どのほどの収入レベルであれば購入できるのでしょうか。
このような議論をする時、
一般に『年収1500万円』の基準が持ち出されますが、
果たして、本当にそれは現実に即しているのでしょうか。
先ずは基本的な情報から整理していくことにしましょう。
仮に、
価格がちょうど『1億円』の物件を購入したと考える時、
フラット35で上限の8000万円を借り入れるとして、
頭金は最低でも『2000万円』は必要になってきます。
もちろん、
1億円で即金購入するなら良いですが融資を受ける場合、
この基準を満たさなければスタートラインに立てません。
話を戻すと、
融資された8000万円を金利2%・35年返済する時、
月々の住宅ローン返済額は『約27万円』にも上ります。
現実には、
生活コストが同等(月27万円)に迫る家庭も多いなか、
いかに『億ション』のハードルが高いかが分かりますね。
しかし、
皆さんもお気付きの通り、居住コストとして掛かるのは、
住宅ローン返済額としての27万円だけではありません。
例えば、
固定資産税・都市計画税は評価額に比例して大きくなり、
価格が1億円超の物件では、年間30ー40万円がザラ。
他にも、
管理費を月4ー5万円と仮定すると、年間50−60万円、
修繕積立金も、少なくとも年間20万円は必要でしょう。
さらに、
自家用車を持つと駐車場代が年間50ー60万円掛かり、
細かい所では、火災保険料も年間10万円ほど必要です。
これらを総合すると、
トータルして『年間500万円』を超える住宅コストが、
少なくとも返済期間の『35年間』続くことになります。
対して、
個人であれ世帯合算であれ、年収1500万円の人間が、
実際に受け取れる可処分所得は『年間1100万円』程。
これでは、
居住コストに『半分』を投入してしまう事になりますが、
それはライフプラン戦略として果たして得策でしょうか。
結論、
年収1500万円程度の一般人が『億ション』に済むと、
居住できる期間に多少の差こそあれ、確実に破産します。
そして、
その期間、人生全体でそれより優先順位が高いと考える、
『リタイアメント・インカム』の構築は絶対出来ません。
それを理解した上で、冷静に判断することを推奨します。
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2023年1月よりセミリタイア生活に入っているため、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太