今日のテーマは、『マイホームの購入は心中する覚悟が求められる時代に突入している』です。
東京、大阪を始め、名古屋、福岡の4大都市圏を中心に、
マイホーム購入の価格高騰が叫ばれてから久しいですね。
実際、
不動産経済研究所が公表した2023年の調査によると、
東京23区内に位置する新築分譲マンション平均価格は、
『1億1483万円』と凄まじい数字に上昇しています。
もちろん、
富裕層向け物件による底上げの可能性も相当高いですが、
中央値が8000万円程度であることはほぼ間違いない。
改めて言うまでもなく、
サラリーマンの限られた生涯年収(〜4億円程)の中で、
住宅関連費を1億円計上することは現実的に不可能です。
その言葉通り『夢のマイホーム』になってしまいました。
価格高騰の要因は、
昨今の円安進行の煽りを受けて材料費が高騰している他、
現場の人手不足により工期が長期化する傾向にあること。
必然的に、これからも工事費総額の上昇傾向は続きます。
また、
2000年以降、神話化していたゼロ金利政策が終焉し、
金利ある世界が戻りつつあることも影響が大きいですね。
2023年の同調査では、
住宅ローンの変動金利選択者が全体8割強を占めており、
人々が安易にリスクを取るという選択を助長しています。
しかし、
日銀総裁が、10年続いた黒田政権から植田氏に移行後、
前述の通り、金融政策は転換点を迎えて市場環境は一転。
原則として、
資本主義経済では『金利』があることが正常なのですが、
負債のある方々にとって、それは大きな足枷になります。
仮に、
年0.4%の変動金利で6000万円の融資を受けたとき、
35年ローンでの返済額は月々15万円ほどになります。
これが、
もしも年率1%に上昇すれば月額17.5万円ほどになり、
金利が年率2%の世界では月額20万円まで上昇します。
単純計算、年間30ー60万円ほど返済額がアップする。
恐らく、その経済余力を残す人々は少数派と見ています。
冒頭から、
歴史的な住宅価格の上昇について取り上げて来ましたが、
ご存知の通り、同様の現象は半世紀ほど前にありました。
しかし、
当時と現在の決定的な違いは、前者(1980年代)は、
日本国民全体の収入も右肩上がりで上昇していましたが、
後者(現在)は停滞して、今後も潮流が変化しないこと。
実際、
物価の影響を差し引く実質賃金は年単位で減少しており、
直近10年以上(30年超?)同水準で推移しています。
果たして、
マイホーム購入という行動が正しいかは分かりませんが、
実行には『心中する覚悟』が必要な時代に突入しました。
私自身、
経済的な合理性を考えて、賃貸戦略を実践していますが、
少し離れた所から俯瞰して観察していきたいと思います。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太