今日のテーマは、『年金改革においても惜しみなく奪われる人々は喰い物にされている』です。
突如として、
厚生労働省から、将来受給する世代に限定されるものの、
基礎(国民)年金の給付水準底上げ議論が出てきました。
仮に、
現行制度が維持される場合、財政的により脆弱なそれは、
2057年まで受給額が減少することが想定されており、
現行水準と比較して約3割低くなると試算されています。
私自身、
かねてより、公的年金システムは既に瀕死の状態にあり、
想像よりも近い将来に破綻を迎えると指摘してきました。
ご存知の通り、
日本の少子化は文字通り異次元という速度で進んでおり、
2035年を待たず年間出生が50万人を下回る見込み。
それに対して、
高齢者(65歳以上)人口の高止まりは継続しますから、
受給サイドは増加し、支払サイドは減少するということ。
そして、
その流れは少なくとも今後数十年続くと言われますから、
この状況でどうやって年金額を底上げするのでしょうか。
理屈的に考えれば、それは実行できるはずがありません。
しかし、
厚生労働省、ひいては日本政府サイドも全く算段もなく、
給付水準の底上げという議論を出さないことも事実です。
基本を整理すると、
基礎(国民)年金という全国民対象の年金制度の原資は、
加入者が支払う保険料と、国費負担によって賄われます。
ここに、
源泉徴収で100%取りっぱぐれがなく、財源的に潤う、
厚生年金の原資を充当・横流ししようとしているのです。
現行、
厚生年金の保険料率は18.3%で頭打ちをしていますが、
この料率が未来永劫維持される可能性はほぼゼロに近い。
そして、
どれだけ保険料負担が上がろうとも、源泉徴収が機能し、
保険料が未収になる可能性も絶対にないと言い切れます。
政府サイドからすれば、安心・安全の超安定財源ですね。
先日の記事では、
厚生年金の加入者要件が緩和されて、収入要件に加えて、
企業規模要件が撤廃される議論に入ったと紹介しました。
これにより、
加入要件は『労働時間(週20時間以上)』のみとなり、
新たに200万人が新たな対象になると言われています。
この要件緩和も決して無関係という訳ではないでしょう。
投資の第一人者であり、
ベストセラー作家の橘玲さんは、以前、彼の著書の中で、
会社員を『惜しみなく奪われる人びと』と表現しました。
事実、
彼ら・彼女らは『お金』に関する制御能力をほぼ持たず、
徴収者サイドからは、惜しみなく奪われつづけています。
それは、年金制度改革においても例外ではないという事。
魑魅魍魎の世界では、弱者は喰い物にされていくのです。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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代表 井上耕太