今日のテーマは、『始動から1年、新NISAにより日本国民の年金問題は解決するのか』です。
昨年1月、
従来の制度から刷新された『新NISA』がリリースされて、
早いもので、今月でちょうど1年の節目を迎えています。
昨年9月末時点、
旧制度(NISA・つみたてNISA)からの引き継ぎ含めて、
開設口座の総数は『2500万』を突破するまでに成長。
原則として、
開設は18歳以上という年齢制限がある事を考慮すると、
国民の4人に1人が口座を保有していることになります。
もちろん、
『口座開設・保有すること』と『有効活用すること』は、
独立事象であり、完全相関しないことは理解しています。
それでも、
社会全体で、ここまで大きなムーブメントになることは、
一大センセーションと表現しても間違いないと考えます。
恐らく、
国民全体としてここまで『投資熱』が高まっているのは、
1990年代のバブル崩壊以降、初めての出来事ですね。
実際、
日本証券業協会の公表では、昨年1ー11月までの期間、
証券大手10社を通じて購入された投信・株式の総額が、
12兆円に迫る巨大な金額になることが判明しています。
単純計算、
年間13兆円ですから、昨年は毎月1兆円超もの金額が、
個人投資家の財布から市場へと流入したことになります。
ここまでポジティブな大きな動きは、記憶にないですね。
主に、
個人投資家のマネーは海外インデックスに集中しており、
ACWIやS&P500に準ずるファンドがトップ10を独占。
歴史を振り返った時、
『売却せず、保有し続ければ』という条件が付きますが、
少なくとも、昨年に投資された前述の『約12兆円』は、
今後10年で倍増することになる可能性が高くあります。
確かに、
この制度で、経済的自由を実現することは厳しいですが、
個人レベルの年金問題を解決する手段としては十分です。
不思議なことに、
新制度に対する『賛否両論』は未だに存在していますが、
個人レベルでは、絶対に活用すべきツールだと考えます。
それでは、現在の活用状況は十分な水準なのでしょうか。
残念ながら、完全な合格点は与えられないのが実情です。
一つの理由は、
口座開設は2500万を突破していますが、裏を返せば、
国民全体として、該当者の4分の3は未開設ということ。
当然、未開設者が制度を活用することなど有り得ません。
また、
2025年現在、日本国民全体が保有する資産のなかで、
キャッシュが占める割合はおよそ半分の1000兆円超。
つまり、
過去に類を見ないレベルの資金の移転があったと言えど、
全体では『1%程度』しか動いていないことになります。
昨年から、
ようやく『金利ある世界』が取り戻されつつありますが、
構造上、預金金利が1%を超える可能性はほとんど皆無。
夜明けの年、元年としては順調なスタートを切りました。
しかし、
真に、日本国民の『年金問題』が解決されるかどうかは、
まだこれから、私たち一人一人の行動に懸かっています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太