今日のテーマは、『あなたは、キプロス・テストを知っていますか??』です。
冒頭、予めお伝えしておくと、『キプロス・テスト』は私の造語です。
他では聞いたことがないので、恐らく、そうです。
ただ、
意味としては、正しく表現出来ていると感じていて、
言葉が示すイベントは、2013年に起こった『キプロス:財政破綻』です。
意外なことに、
『金融』の世界を生業とする人間には『常識』であるこのイベントも、
一般の方々には、ほぼ『ゼロ・ベース』でしか認知はされていません。
確かに、
その前後のイベントを思い返すと、2007年のサブプライムから始まり、
2008年のリーマン・ショックや、その翌年から顕在化する欧州危機と、
インパクトの大きな出来事が連続しています。
また、
その後に起こった『ギリシャ・デフォルト(国家破綻)』も、
『キプロス』での出来事をマスキングする、1つの要因になっていますね。
そもそも、
『キプロス共和国』という国家が存在すること自体、
一般的な日本社会では、殆ど知られていないのではないかと想像します。
この辺り、
歴史的、宗教的、民族的なことを述べ始めると、話が逸れるので避けますが、
地中海に浮かぶこの島(国家)は、欧州金融の1つの要所を担っていました。
所謂、『オフショア』ですね。
元々、
人口も100万人程度しか存在しない、小さな島国でしたが、
国家政策として『オフショア』を採用することで、富裕層マネーを呼び込みます。
特に、
地理的利点から、『ロシア』の資金が多く流入したと言われますが、
2004年の欧州連合(EU)加盟、2008年のユーロ採用を経て、流れは一気に加速。
キプロスに限らず、
欧州には、経済的視点での『北』と『南』が存在していますが、
2000年代初頭は、まさに『北』から『南』に資金大移動が起こる時期でした。
実際、
その『異常さ』は数字にもしっかりと現れていて、ユーロ導入から2年間、
『使用者不明へ送金』は、国家全体のGDP比『15%』まで増幅します。
また、
同じくユーロ導入から破綻までの5年間、国内金融機関の時価総額は、
対GDP比で『1000%』に達するほどに『異常増殖』していました。
『日本国』の数字で置き換えるなら、
『使用者不明の送金』が、1年間で『80兆円』ほどを記録し、
金融機関の規模が、総合計で『5000兆円』を超えている状態ですね。
因みに、
『新型コロナ・ウイルス』が直撃する以前、経済が『正常運転』の状態で、
『国家税収』は、1年間で『60兆円』に達するかどうか、というレベル。
如何に、
当時のキプロスが『異常事態』だったか、想像して頂けると思います。
しかも、
ユーロ導入以前はというと、全人口の62%が観光業に従事し、
GDPの70%を観光産業で構成していた、所謂『発展途上国』。
それが、
極短期間に『金融立国』として、驚異的な急成長を遂げるのですから、
『個人』で例えた場合の、『宝くじに当たった』現象と似ていますね。
概して、
『火種』というのは、好調な時期にほど燻り始めるものですが、
前述の期間、実は、キプロス政府の保有資産にも『警鐘』は鳴り続けていました。
と言うのも、
あまり考えられない事ですが、この時、
保有資産の25%を『ギリシャ国債』が占めるまでになっており、
同国の国家破綻と同時に、破綻するリスクが高まっていたのです。
要は、『貸し倒れ』です。
当然、
それまで、流入し続けていた『富裕層・機関投資家』の投資マネーは、
一瞬でストップし、文字通り『一夜』にして『財政破綻』を迎えます。
その後、
EU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)に対して経済支援を要請しますが、
条件は厳しく、預金封鎖・資産課税により、事実上の『資産没収』が行われます。
上記で、
海外からの『富裕層・機関投資家マネー』の流入はストップしたと言いましたが、
自(キプロス)国民に関しては、キャピタル・フライトは徹底的に阻止されます。
この時期、
クレジットカード、デビットカードの決済すらも止められる状態に陥り、
手持ちの現金を保有するもの以外は、食料すら手に入れられなかったと言います。
勿論、
デフォルト(債務不履行)した国家においては、
『社会保障』等のサービスも大幅削減されますから、国内を大混乱が襲います。
最終的に、
トロイカ(EU、ECB、IMF)のベイル・イン(介入)により救済支援を受けますが、
キプロス国民が負う事になった『代償』は、前述の通り、壮絶なものになりました。
ところで、
タイトルに採用した私の造語『キプロス・テスト』ですが、
この国家の財政破綻は、一部で『テスト』ではなかったのかと囁かれています。
と言うのも、
当時のユーロ圏財務相会合議長だった某人物が、
インタビューの席で、『気になる発言』をして物議を醸していたからです。
その発言というのは、
2013年に起こった『キプロス財政破綻』は、
今後、どこかの加盟国が破綻した際の『モデル・ケース』になるというもの。
確かに、
人口が『100万人』にも満たない小国ながら『欧州連合』に加盟し、
共通通貨『ユーロ』を採用するという、極めて『異例』なモルモット。
増して、
四方を海に囲まれた『島国』という地理的利点も整っていますから、
これほど、『デフォルト・テスト』に向いている国など有りません。
『条件』が、揃い過ぎています。
何故、
2020年を迎えている現代に、7年も遡る出来事、
『キプロス・テスト』の話を蒸し返しているのか??
この続きは、明日の公式ブログでお伝えしていきたいと思います。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太